無料の境目

レジ袋が有料になった。
消費者はエコバッグを持ち歩くようになり、
プラスチックごみが(多少は)軽減された。
環境破壊を真剣に考える人なら、有料になる前から
エコバッグを持ち歩いていたはずである。
つまりここで減ったのは
「お金を払ってまでレジ袋はいらない」という人。

彼らにレジ袋を放棄させることが
今回の法改正の狙いだといえる。
有料か無料か。
その境目は人間の行動に大きく影響を与えるのである。
当然のことながら経営者はこの習性を利用する。

たとえばポテトやシェイクを無料にする、
というハンバーガーチェーンの集客戦略。
スマホの本体を無料にする売り方も同様である。
結果的には通話料に上乗せされているのであるが、
無料という広告インパクトはとても大きい。

有料であるはずのものを、無料にすることによって
人を集める。購買意欲を高める。
これは資金力のある会社がよく使う戦略である。
では逆に、無料であるはずのものを有料にすると、
どのようなことが起こるのか。

レジ袋の有料化ではエコバッグ持参者が増えた。
だがこれはすべての店が一律に行った結果である。
もし単一のスーパーでやったら、
顧客は憤慨して他店に流れて行くだろう。
無料>有料。これが多くの経営者、
そして消費者がイメージしている構図である。

だが有料化は必ずしも、
ビジネス的にマイナスであるとは限らない。
じつは有料化することによって
プラスに働く例はたくさんある。
たとえば見積りの有料化。
有料化することで顧客を選別し、
契約率アップに繋げる戦略だ。

確かに選別はできる。
だが肝心の集客が減ってしまうではないか。
そう考える人は人間心理を分かっていない。
たとえば無料セミナーなら誰でも喜んで参加するのか。
有料セミナーには誰も参加したがらないのか。
人間はそんなに単純ではない。

無料セミナーでは
何かを売りつけられるかもしれない。
有料セミナーでは
とても有意義な話が聞けるかもしれない。
そう考える人もいる。
もちろん有料であればいいというものではない。
そこには練りこまれた戦略が必要だ。

単なるシステムの見積もりではなく、
戦略設計図という商品にする。
単なる営業ではなく、
こだわりの食事ツアーというサービスにする。
練りこまれた有料サービスは、
思考停止で繰り返される無料サービスよりはるかに強い。
有能なマーケターは無料の境目を、
常識にとらわれず自在に行き来する。

 


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どうすれば企業は生き残っていけるのでしょうか。私は今後、中小企業の経営は二極化していくと予想しています。それは「人を雇い続ける経営」「人を雇わない経営」です。

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