日曜日には、ネーミングを掘る ♯149「100g<大人の片手で掴み切れない量」

今週は!

懇意にしている鳥取のお醤油会社から、日本海の冷気を纏った荷物が届いた。

箱を開けると、細長いガラスの容器にドレッシングのようなものが入っている。社長の手紙が添えられている。

-パクチー入りの醤油を試作してみました。よかったら召し上がってみてください。

ちょうどその日の夕食は、白身魚のフライ。さっそくかけて食べてみた。これでもかというくらいたっぷり入ったパクチーが、伝来のお醤油の味と馴染んでとても美味しい。

妻にもすすめてみた。あら、これ、好き。水餃子なんかにも合いそうね。

食事の途中であったが、お礼のメールを返した。

-ありがとう。パクチー堪能しました。量をケチっていないのがいいね。

-そうなんです。いま、売り文句を考えているんですが、こんなのどうでしょう?

「どっさりパクチー7束(100g)を入れたパクチー醤油」

-いいと思うけど、数字だとどっさり感がイメージできないな。7束って、実際にはどれくらいなの?

-ざっとですが、大人の片手で掴めないくらいの量です。

-うん、それならイメージできる。売り文句のあたま、こうしたらどう?

「どっさりパクチー7束(大人の片手で掴めないくらいの量)」

―なるほど!それでいってみます。

数字は絶対的なエビデンスと思いがちだが、感覚に働きかけた方がより良い場合がある。

パクチー醤油を少しかけ足し、わたしは残りのフライを口に運んだ。

株式会社楠城屋商店:楠城屋商店 (nanjoya.com)

 

著者の他の記事を見る

 

感想・著者への質問はこちらから