第46回「あいだを探すと面白い」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第46回  「あいだを探すと面白い」

面白い商品に出会いました。
足先が3つに分かれていることが特徴のスポーツ用靴下「3grips(スリーグリップス)」です。


商願第2021-20737号(出願人:株式会社メディカルヤマモト)
【商標】

【指定商品/役務】靴下,運動用特殊靴下,運動用ストッキング など


商標の出願もしている開発元の株式会社メディカルヤマモトの代表である山本氏は、オリンピックや世界選手権において、強化スタッフ等として、日本代表にも帯同しているスポーツトレーナーです。

その山本氏が提唱しているのが「三点歩行理論」。足の指にはそれぞれの機能があり、同じ機能を持つ指ごとにまとめることで、より大きな力を得られるという理論です。

親指:押し出し機能
薬指と小指:蹴りだし(引く)機能
人差し指と中指:その両方

2021年の箱根駅伝で2位(往路1位)となった創価大学の選手が3gripsを着用していたということで話題になりました。他にもシード権を獲得した國學院大學や東京国際大学の選手たちも着用し、「脚全体に力が入るような感覚があった」「シューズ内でのズレがなく、走りやすい」といった感想をもったようです。

科学的な検証を行っているところのようですが、駅伝での実績はインパクトが大きかったようです。Makuake(クラウドファンディング)をつかって、目標金額の2500%以上にあたる資金の調達(試験販売)に成功しました。
いきなり2位に躍進した創価大学の選手たちが、実は3gripsを履いていたとなれば、たしかに買いたくなりますよね。成績アップが期待できる商品は、分かり易くヒットします。

未来コンパスが指すミライ

「成績アップ」の他に、私が注目したポイントがあります。それは「中間」です。
「5本指に分ける」でも「まったく分けない」でもなく、その「中間」の靴下を作ったこと。仮に、新しい理論が見つかれば、「2本+3本」でも「3本+1本+1本」でも、0~5本の「中間」にはいくつも可能性がありそうです。

「中間」という視点でビジネスを考えると、新しい売り方や新しい商品が見つかります。

  • カツラ
    カツラを購入する人は、自分に最も似合うカツラを購入します。当然です。
    ですが、地毛の人は、毎日髪が伸び、髪形が変わっていくものです。そう考えると、カツラも変化しないと不自然です。
    「着けている」と「着けていない」の二択ではなく、その中間の髪形もカツラにするのです。
    アートネーチャーのトップセールスは、「散髪から2週間後の状態のカツラ」や「美容院にいく直前の状態のカツラ」を提案したことで成績を大きく伸ばしたそうです。

 

  • メガネ
    メガネを作るときは、視力検査をしますね。検査ボードまでの距離は5mだそうです。
    他方で、我々がデスクワークをする時は、50-100cm先のスクリーンを見ることが大半です。5m先が良く見えるように作ったメガネを付けて1m先のスクリーンを8時間以上凝視する。これは、仕事の間ずっとピント調整のために目を余計に働かせている状態です。
    この課題を解決する、デスクワークの距離に特化した「仕事メガネ」はいかがでしょうか。遠くを見るためのメガネでも、近くを見るためのメガネでも、あるいは遠近両用のメガネでもない、「中間」距離のメガネです。ブルーライトをカットするだけがPCメガネではありません。

こう考えると、それぞれの商品やサービスの用途に応じて、「中間」はいくつもありそうです。皆さんも、自社業界の「中間」を探して、未だないマーケットを創造してはいかがでしょうか。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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