第53回「情報交換技術とセキュリティーのミライ」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第53回  「情報交換技術とセキュリティーのミライ」

コロナの影響で登山ブームのようですが、それに併い遭難が増えています。
登山初心者は、いきなり高い山に登るわけはなく、1000メートル級の低い山に登るわけですが、それでも遭難するというのです。
例えば、14時過ぎに入山し、夕方には帰れると算段していたものの、急いで歩いたことで膝を痛め、予定より時間がかかるようなケースです。それをリカバリーするような計画も準備していないし、ライトや雨具といった装備も持っておらず、夜の山で立ち往生。結果、遭難してしまいます。
そんな時に役立つのがこの特許。遭難した人を見つける発明です。


特開2021-013160号(出願人:株式会社ヤマップ)
【発明の名称】みまもりシステム など

 


この特許は、YAMAPというアプリに使われていて、ユーザーがすれ違うことで、位置情報を交換します。
実はこれまでも、すれ違いによる情報交換に関する技術・サービスはありました。例えば厚生労働省のコロナ対策アプリCOCOAや街中で出会える恋愛マッチングアプリです。
この特許がすごいのはインターネット環境にない「オフライン」でも使えるところ。しかも特別な機器が必要なく、スマホさえあれば良いのでユーザーが多く、位置情報を交換できる確率が高まります。
オフラインでも機能するのは、Bluetoothを使うため。すれ違った際にBluetoothで情報を交換し、いずれかのユーザーが電波の届く場所にたどり着いた際に、情報がサーバーに送られる仕組みです。山岳救助隊が捜索エリアを絞り込むのに欠かせなくなりました。

■未来コンパスが指すミライ

COCOAのように、ユーザーが交換したと認識(意識)することなく、情報が受け渡されるサービスは増えつつある印象です。
こうした情報交換技術の中でも、オフラインのそれが当たり前になるとセキュリティーに関する対策も大きく変わってきそうです。これまで、開かれたインターネット空間でいかに情報を守るかが情報セキュリティーの肝でしたが、これからはオフラインであってもやりとりが行われる前提でセキュリティーを考える必要がありそうです。
また、リモートワークや在宅勤務が根付きはじめ、今後も定着すると予想される中で、企業の秘密情報を社外から持ち出す機会が相対的に増えてきます。そうすると、秘密情報をトレースしたり、遠隔で消去したりするサービスも登場するでしょう。秘密レベルが高い情報の場合、デバイス中にある秘密情報に第三者がアクセスした時点で、自動的に情報が消去されるような技術も出てくるかもしれません。
「そんな映画007みたいな!」とツッコミを入れたくなるものですが、フィクションと現実の間にあるような技術にこそ次の未来があるように思います。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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