その153「『どうせなら・・・』効果をうまく使え」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

「『どうせなら・・・』効果をうまく使え」

僕、定期的に悩むことがあるんです・・・

それは・・・

電子レンジを買うべきかどうか。

実は僕の家には電子レンジがありません。
不便なんですが、無いなら無いで生活はできるんですよね。
でも、不便なんです(苦笑)
だから、四半期に1回位、検討するんですけどね。
しかも10年以上悩んでいます。
そんなとき、いつも、ある思考が頭をよぎるんです。

「どうせなら・・・」

そう、どうせ買うなら、良いものを・・・というやつです。
とは言え、実際のところ、お弁当や冷凍食品を温める程度にしか使いませんよ、きっと。
でも、不思議なことに、「どうせなら・・・」って考えちゃうんですよ。
昨今、多機能な電子レンジって多いですから、余計にね。
結局、オーブンレンジとかの上位機種が気になってきて、「こんなに高いのなら、まぁ、今は要らないかなぁ・・・」と予算が理由で諦めるわけですが。
でも、この10年以上も悩んでいる無駄な時間と、その間犠牲にしてしまっている利便性を考えると、「どうせなら・・・」とオーバースペックのモデルを買ったとしても元は取れている気がするんですけどね。

この「どうせなら・・・」って感情、ちょいちょい出てきませんか?
何かものを買うときがわかりやすいですけど、「どうせ結婚するなら・・・」と高望みしてしまったり。
旅行のときに「どうせ行くなら・・・」と、スケジュールをパンパンに詰め込んでしまったり。

ある種の『プロスペクト理論』みたいなのが働いているのでしょうか。
簡単に言うと、人は収益よりも損失の方に敏感で、損失を回避する傾向にあります。
100%100万円もらえる権利か、二分の一の確率で200万円がもらえるけど外れると0円になるくじ引きがあった場合、前者を選ぶ人が多いよ、と。
一方で、損失が出ていると、それを取り返そうとより大きなリスクをとったりするよ、と。
「この人より良い人があらわれるかもしれない(もし、現れたら、損する)」と結婚相手に高望みしてしまったりね。
最低限必要な機能を持った電子レンジ購入したときに、上位機種と比較して、機能面で劣ること(損失)が頭をよぎってしまっているのかもしれません。「あの機能があったらなぁ・・・」って思いたくないですからね。
プロスペクト・・・つまり、見込みや展望、期待が、僕の合理的な意思決定妨げているわけです。
・・・かっこよく言ってますけど、僕の電子レンジのケースは、貧乏性で優柔不断で、そもそも予算がないというだけなんですが(涙)
迷ったあげく、結局毎回買わないんだから、ロイヤル客の真逆ですよね。
アパレルに勤めていた頃、店頭に立って接客していましたが、こういうお客様が一番困りました。そんな人に限って、よく来るんですよ(苦笑)まさかそれが自分だったなんて・・・涙

でも、この「どうせなら・・・」というのが、大なり小なり生まれるので、アップセルやクロスセルが効いて、単価を上げることができるんですよね。
新車や家などを購入する際、自分好みにカスタマイズできますから、「どうせなら・・・」効果がすごいですよね。
ローンに入れてしまうと月額の支払いが少しUPするだけに見えるので、冷静さを失い、熱狂しちゃいますね。
まぁ、僕は新車も家も買ったこと無いんですけどね・・・←わかったふりをするな!

こんな風に予算がある程度あるお客様に対しては、「どうせなら・・・」の心理を生かして、単価を上げることはできそうですね。
一方で、僕みたいな「どうせなら・・・」ばっかり強くて、予算が無いやつは相手にしてたらダメってことです・・・涙

 

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著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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