その111「何の看板を掲げますか?」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

「何の看板を掲げますか?」

皆さん、UBERとか、使っていますか?
日本だとタクシーの配車アプリみたいな感じですが、配車場所と目的地をアプリで指定できて、支払いもアプリで完了できますから便利ですね。
コミュ障の僕にとって、電話や会話をする必要がないというのは大きいのです!

UBERと言えば、2016年頃、僕がフィリピンのマニラに住んでいたときにも、本当にお世話になりました。
土地勘のない海外での移動って楽しいのですが、不安や緊張からのストレスもありますよね。
フィリピンで会社設立する前、アジア中心に数カ国を視察で訪問していたのですが、そこで色んなタクシーに出会いました。
連れ回されて、「金払え!じゃないと空港に戻るぞ!」と凄まれ、ものすごい高額請求されたこともあります。そのとき、荷物はトランクの中だし、困りましたね(汗)
タクシーの運転手から車両を又借り!?して、夜間だけ商売している輩もいて、もちろんメーターは使えませんから交渉です…
乗車拒否も珍しくありませんし、目的地を聞いてからドライバーが断るなんてことはざらでした…
ランドマークを言っても「なにそれ?知らん」って感じで伝わらないし、地図も読めないけど、住所を言えば完璧にたどり着く国もありました。

ちなみに、フィリピンでは「これから昼飯食べるから嫌や」と乗車拒否されたり…
謎の速度で上昇していく改造メーターを使うドライバーもいました…
あまりの速度で上昇していくので、「良いメーター持ってるな」と言うと、罪悪感が出たのか、そのドライバーは端数を切り捨ててくれましたw(それでも通常料金より高いのですが…)
ちなみに、フィリピンのタクシードライバーは事業者から車を借りて、営業しているので、公定料金を守らないドライバーも多いのです。

その当時のフィリピンには、UBERとGrabという2つのサービスが競い合う状態でしたが、ほどなくしてUBERが撤退し、Grab一強となりました。
そのGrabはデリバリーサービスにも力を入れていて、フードデリバリーはよく利用していました。
日本にも上陸していつの間にか撤退していたfoodpanda(ピンク色のバックパックのやつ)もフィリピンでよく使っていました。(中国資本の会社かと思っていたら、ドイツ発のサービスだったんですね!)
他にも日本の食べログみたいなサービスでデリバリーを頼めたので、こちらもよく使っていました。

コロナ禍もあって、日本でもこうしたフードデリバリーサービスは一気に浸透しましたよね。
お店を検索していると、「あれ?こんなお店近くにあったかなぁ?」と思うことありませんか?
ご存知の方も多いと思いますが、それらは「ゴーストレストラン」や「クラウドキッチン」と呼ばれるものの可能性があります。
既存の飲食店のキッチンスペースを活用したりして、フードデリバリー専門店を立ち上げる商売ですね。
それらに特化したフランチャイズもたくさんあります。
実はその仕組を利用して、「専門店」になるのが流行っています。
例えば、居酒屋さんが、「からあげ専門店」や「焼きそば専門店」になったりするわけです。

僕らは「専門店」って言葉に弱くないですか?
「◯◯専門店」の「◯◯」が検索キーワードのようになりますし、フードデリバリーサービスに登録している無数の店舗(ブランド)の中で分かりやすいですよね。
ただ、「からあげ専門店」と名乗ると、からあげ以外の需要を捨てることにもなりますから、飲食店側としては勇気が要りますよね。
ところが、「ゴーストレストラン」や「クラウドキッチン」の場合、1つの居酒屋さんが、複数の専門店の看板を掲げることだってできてしまうわけです。
「からあげ専門店」で取りこぼした「焼きそば」需要を、「焼きそば専門店」で拾うことができるという仕掛けです。
実店舗でこういうのは難しいですが、上手いことやりますよねぇ。

ところで、自分に「◯◯専門」という看板をかけるとすると、それは一体何でしょうかね?
ある種のパーソナルブランディングってやつですね。
器用な八方美人タイプは色んな看板を掲げられそうですよね。
僕がフィリピンに住んでいたころ、空手やったり、MMAのジムに行っていたのですが、共通の友人がいる方から「始めまして、確か・・・格闘家の方ですよね?」って言われたことがあって、完全にパーソナルブランディングを誤ったなって反省したことがあります・・・

 

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著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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