その76 死者のニューアルバム

サブスクサービス、みなさまは何に入ってらっしゃいますでしょうか。

生活の質や行動の効率が良くなるようで、
意外に必須とまではいいきれなくて、
興味に任せて入っていたらキリがないものの
やっぱりあること自体で得られるものがあるような気もする。

自分の場合は音楽系にひとつだけ入っていますが、
サブスク環境を生かせているのかどうかよくわかりません。
CD全盛の時代を体験しているので
当時と比べ、アーティストの方は
仕事 = 楽曲を作る 以外のビジネスモデルを持たなくてはいけないことは確かで 、
それはもうたいへんなことだなあとは思います。

さて、日本ではずっと不良っぽい若い人の音楽で、
決して海外のようにメインストリームにはならなそうな
ヒップホップというジャンルがあります。

数年前、たまたま好きになった米国のヒップホップアーティストがいたのですが、
それは薬物の過剰摂取で自身が死亡したニュース記事がきっかけでした。
まだ二十歳そこそこだったようですが、
彼のキャリアはすでに終わってしまったわけです。

しかし、サブスクを見ると、
ときどき彼の楽曲は新しくアップロードされていました。
有名な人は未発表、未完成の曲が
本人に関係ないビジネスとしてぽつりぽつり発表されることがあるものですが、
彼の場合は何度かアルバム単位でまるごと発表されたりもしました。

音楽ジャンルやもっと細かいカテゴリーにもよるのでしょうが、
どうも、彼が活動した界隈では
きちんとした環境、スケジュールなどそっちのけで
思いついたものは片っ端から毎日のように録音され、
そのため大量の音源が存在しているようなのです。

CDの時代は作品というものはレコード会社を介して
「ちゃんとした」形で制作され、
「ちゃんとした」宣伝と製品化がなされて
「ちゃんとした」お店で販売されるものだったはずです。

ですが今では、ネット経由で膨大な量の個人が膨大な量の作品をアップし、
その濁流の中から人気をつかんだ者が
アーティストとして世に出る仕組みが確立されているようなのです。
きっとこれは海外のヒップホップ、
あるいはエンタメだけの話ではなく、
時間をかけ、人数を集めて「ちゃんとした」ものを作ることは
現在最先端でしのぎを削る人々にとって
決して最適な方法とはいえないのでしょう。
そしておそらくは、
さらに進んだ時代の最適な方法がまた生まれて広がるのでしょう。

今度は亡くなったアーティストが
まったくタッチしていない完全な新作とか、出るんでしょうか……?

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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