その79 ハゲ

人間というもの、アラフォー、アラフィフ、アラカンになってくると
多少の個人差はあれ体がぼろっちくなってきまして、
ああこれがむかし年寄りがいってたアレか、
ということを嫌でもわからせられるものです。
体もそうですが、
特に男性の場合、髪もそうです。

年齢による毛髪の変化というのは
本数が減ることもありますが、太さが著しく細ってしまうことで
ボリュームが失われることがメインのようです。
ですから、髪の毛が抜けてなくなることも当然ありますが、
全体の体積が若いころと比較すると半減していたり、
ツムジ近くの地肌がより露出しているように見えるのが
「髪が薄くなる」現象の本質のようです。

これは男性永遠の悩みといえる問題で、
2000年前、ローマのユリウス・カエサルすら薄毛に悩んでいたといわれています。
カエサルは世界の英雄のオールタイムベストを企画したら
どんな基準でもベスト5に入るであろう人類屈指のスターであり、
最後暗殺されてしまいましたが
古代世界のど真ん中だったローマを支配した、
文字通り地球を自分のものにした男です。
その後、本人は生涯皇帝ではなかったものの
「カエサル」とその派生語「シーザー」「ツァーリ」は皇帝を指す言葉になりました。

それほどの人物、カエサルのあだ名は
「ハゲの女たらし」
だったそうです。

時代と文化が違いすぎて
今のわれわれが直接比較するのは難しいことですが、
おそらく令和日本の感覚からすると
異性に対して精力にあふれている
男性ホルモンたっぷりの髪が薄くなったオッサンというのは
もっとも生理的に疎まれ、キモく、軽蔑してかまわないと思われる存在です。

そもそも価値観や個性の多様化というフレーズが猛威をふるっている現代でも
「ハゲ」はまだ武器にしていいような雰囲気がありますし、
それが異性にモテようとする時点で
市場への参入資格がないとみなされてしまいます。
また、当時のローマでも「ハゲ」は等しく悪口として有効だったようで、
本人もそれを苦慮していたことが伝わっています。

しかし、ここでもし、カエサルがフサフサのイケメンであったらどうでしょう。

卓越した能力の持ち主であることはもちろん、
大いなる権力を持った人間にスキのない見た目の造作が備わっていたら、
その周りに人が自然に集うでしょうか。
むしろ陽気にガハハと笑うハゲたおっちゃんだからこそ、
様々な人が惹きつけられたのではないのでしょうか。

……あと、カエサル、「借金王」というあだ名もあったようです。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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