第9回 非日常こそ成長のチャンス

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第9回 非日常こそ成長のチャンス

安田

倉橋さんは「遊べるリユースショップ」や「農機具事業」など、面白い着想のビジネスを多数手がけていらっしゃいますよね。そういうアイデアはどこから湧いてくるんですか?


倉橋

最近Twitterにも書いたんですけど、アイデアが湧いてくるタイミングが2つあって。1つは「いつもの環境ではないとき」。もう1つは「トラブルが立て続けに起こっているとき」です。

安田
へぇ。前者は何となくわかりますが、後者は面白いですね。トラブルが起こってるときなんて、ビジネスアイデアを考える余裕なんてないような気もしますけど。

倉橋
まあ、言われてみればそうなんですけど(笑)。ただこの2つには共通点があって、それが「非日常」ということなんです。普通の日常を過ごしているときとは違う状態だと。
安田
ああ、なるほど。だから普段の状態では出てこないようなアイデアが出てくると。

倉橋
ええ。感受性の振り幅が普段より大きくなっているんでしょうね。だから面白いアイデアが浮かびやすいし、それをどんどん膨らませてもいける。
安田
面白いビジネスアイデアは「非日常」にこそ生まれると。でも、そうは言っても、トラブルが続くような状況って言わば「マイナスの非日常」じゃないですか。それでもポジティブなアイデアが浮かぶものですか。

倉橋
トラブルが起こるってことは、要するに現状のビジネスが何らかの課題を抱えているってことじゃないですか。お客様や取引先に満足を提供できていないからこそ起こるわけで。
安田

そうですよね。トラブルには必ず原因がある。


倉橋
そうなんです。つまりトラブルって、その原因をじっくり観察できる機会でもあるわけですよ。逆に言うなら、トラブルが起こらなければその原因はずっと放置されていたかもしれない。
安田
ああ、つまりトラブルというのは課題解決の糸口でもあると。確かにそう考えると、新しいアイデアが浮かびやすい気もしてきました。

倉橋
でしょう? たとえば海外旅行に行くのも「非日常」ではありますけど、想定外のことが起こったほうが面白いじゃないですか。送迎付きでガチガチに予定が組まれたツアーより、自分で地下鉄を調べて移動する方がワクワクするというか。
安田
それで目的地とはぜんぜん違うところに着いてしまったりね(笑)。僕としてはできればそういうことは避けたいですけど(笑)。

倉橋
もちろん、僕も避けるようにはしていますけど(笑)。大事なのはとにかくアクションを増やすことなんですよね。その結果としてトラブルというリスクも増えるかもしれないけれど、斬新なビジネスアイデアが浮かびやすくもなるわけで。
安田
確かに、アクションを起こさなければ何も起こりませんもんね。とはいえですよ、立て続けにトラブルが起こったら精神的にも参るじゃないですか。「これはチャンスだ!」なんて、なかなか思えない気もするんですよね。

倉橋
確かにそうですよね。僕も今でこそポジティブに受け取れるようになりましたけど、最初はちゃんと落ち込んでました(笑)。
安田
ああ、やっぱりそうですか。安心しました(笑)。

倉橋
またトラブルって不思議なくらい立て続けに起こるんですよね。安田さんもいろいろご経験されていると思うんですけど(笑)。
安田
わかります。なぜこんなにまとめて起こるんだっていうくらい(笑)。

倉橋
笑。あまりにも毎回そうなので、そうか、トラブルっていうのはそういうものなんだな、と考えるようになりました。
安田
非日常=チャンスと捉える倉橋さんなら、むしろ連鎖的にトラブルが起きたほうがお得ですしね(笑)。

倉橋
そうそう(笑)。とはいえ、実際には大変ですけどね。トラブルが起きているのに、のんびりと非日常を楽しんでいる暇なんてないので。
安田
そりゃそうですよね(笑)。とはいえ、結果としてそういったトラブルをバネに新しい事業を思いついたりされているわけで。どうやったら非日常をチャンスに変えられるんでしょう。

倉橋
うーん、自分でもよくわかってないんですけど(笑)。でもまあ、一言でトラブルと言っても地震とかコロナとか、自分ではどうしようもない原因のものもありますよね。そういう場合はくよくよと考えず、とにかく前向きな思考をするようにしてますね。
安田
地震とかコロナは自分の責任じゃないですもんね。でも、自分の責任で起こってしまったトラブルの場合はどうするんですか?

倉橋
それは素直に反省します(笑)。でもトラブルって、反省したから終わり、とはならないでしょう? 人間関係にしろ資金的な問題にしろ、何らかの対応をしなきゃいけない。で、その対応は今後の教科書になるわけで、そういう意味でもやっぱりマイナスばかりじゃないんです。
安田

確かにそうですね。トラブルを一切経験してない会社って、むしろ危険な気がしますもんね。そう考えると、確かに非日常をチャンスと捉える姿勢にも、納得感が出てきます。平坦な道より険しい道を行った方が、結果的により大きな幸せを得られるというような。


倉橋
まぁ、決してトラブルを求めているわけではないんですけど(笑)。とにかくアクションを多めにしていかないと、とは思ってます。
安田
で、アクションすれば必ずトラブルは起こると。それをいかにプラスに変えていくかが重要ってことですね。

倉橋

そういうことです。ちょっと話は逸れますが、会社員だけじゃなく経営者の中にも「決められない」人っているじゃないですか。そういう人にはそもそもビジネスチャンスが下りてこないと思うんですよ。

安田
ビジネスに限らず、人生のチャンスが下りてこないですよね。
倉橋
あぁ、仰る通りですね。ビジネスでも人生でも、ある段階において「これをやらないと次の段階に行けない」ということって必ずあると思うんです。で、基本的にそういうのって、試練とかトラブルの形で現れるでしょう? つまり非日常ですよ。
安田
ああ、なるほど。確かにそうかもしれません。

倉橋
そういう時に何もせず、「検討します」「時期が来たらやります」なんて先延ばしにしていたら、いつまでたっても次の段階に行けません。
安田
やっぱりビジネスでも人生でも、「非日常」にこそ成長のチャンスがあるわけですね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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