その14「日傘をお勧めします。」

どのころまでと厳密にはいえませんが、
男性が背広を着るときは
帽子まで着用することが「スーツ」の成立要件であった時代がありました。

古い写真や古い映像を見ると
大人の男性の皆さんが
あたりまえにネクタイを締めているように
あたりまえに帽子をかぶっている様子が見て取れます。
だいたい昭和の初期~中ばくらいまででしょうか。

しかしスーツ姿の足元が
スニーカーでもそこまで奇異とはいえないような今日、
帽子をカジュアルではなくビジネス・フォーマルに合わせるのは
正直、そちらの方が変わっているというか、
コスプレ的な着こなしに映ってしまいます。

ようするに「普通」の感覚が変遷したということです。

今日の感覚のキーワードは
ずばり「楽」でありましょう。
息苦しいネクタイを省略して
パソコンが重ければリュックを背負う。
「楽であること」が感覚の軸であり価値の基準。
窮屈とか不快とかは排除すべきである、と。

そんな現代こそ
間違いなく発見され定着して当然のアイテムがあるのですが、
なんだか何年経ってもいまいちブレイクしないやつがいるのです。

それが「男性の日傘」です。

暖かい季節になったらリコメンドしようと思っていたら
たちまち桜もゴールデンウイークも通り過ぎてしまいました。
もう猶予なりません。能書き抜きでお勧めいたします。

女性のアイテムというイメージが強く持たれているかもしれませんが、
日傘はフェミニンなデザインのものだけではありません。

ゴルフ用などのガチ日傘は
表地は銀色など耐候効果、裏地は黒で遮光を強化していますが、
まさにそのようなパフォーマンス重視の仕様は
女性にはやや持ちにくく(かわいくないから)
男性にこそしっくりくる(どっちかというと)ものです。

ゴルフ用だと日常使いにはでかすぎますが、
それよりサイズが小さくとも
日傘は雨傘と違って横から陽射しが降りこんだりしないので
効果があまり変わりません。
アウトドア用途の折り畳みなどは、
なんだかんだ急な雨にも対応できるのでいいと思います。

それでもやっぱり女の人しか使っていないしなあ…
という逡巡はおありかと存じますが、
女性でも若い方が使うようになったのは近年の話で、
2、30年くらい前であれば日傘自体、
大人のマダムなイメージが一般的だったようなのです。

やっぱり、「普通」という感覚は変わるのではないか、
と思います。

あと、あの灼熱の夏場に
舌を出して目を白黒させているおっさんたちの中で
自分だけ濃ゆい影の下にいるのはなかなかの快感でありますよ。

これがいいたいだけだったりして。

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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