岸田さん、2030年までに最低賃金を1500円にするそうです。
正確には2030年代中頃ですね。それまでに1500円にしようと。あと10年ぐらいです。
あと10年で最低賃金が1500円になる。
そうです。つまり毎年5%くらい上がっていくということですね。
岸田さんがいつまで総理やるんだって話もありますけど。
そうですね。でも基本的には上げていくことが既定路線だと思います。
今でさえ「もう雇えない」という会社が増えてるのに。1500円までいっちゃうと、よほど利益率の高いビジネスじゃないと無理ですよね。
もしくは人が稼がない会社ってことですよ。生産性の高い素材や機械を扱ってるとか。
省人化ってことですね。
5%って結構すごいですから。粗利の低い会社だと、かなり値上げしないと人件費が出てこないです。
実際に1500円までいくと、粗利は何%ぐらい上げないといけなくなるんですか?
粗利が半分ぐらいの会社だと、10%以上ぐらい上げなきゃいけないでしょうね。
なんと。10%も。
燃料や材料コストも値上げしていくので。とんでもなく値上げしなきゃいけない。
円安で上がるってことですか。
取引先の人件費も上がりますから。全ての取引先が値上げしてきます。
なるほど、そうか。仕入れから何から全部上がっちゃうってことですね。
ガソリンや素材が上がって、取引先全ての人件費が上がって、どんどん積み上がっていきます。
最低賃金1000円ですら反対してる経営者が多いのに。ちょっとぐらい値上げしてもぜんぜん追いつかないって。それでも最低賃金は上がり続けますか。
デブレの時は上げなくてもよかったんです。けど今は最低賃金を上げていかないと票が取れない。
生活できないですもんね。
税金も社会保険料も上がっていきますし。1500円だと単純計算で160時間働くと24万円なんですよ。
初任給が24万円になるってことですか。
24万円が最低賃金になるってことですね。大変だと思います。
まだ16万円ぐらいの会社もたくさんありますけど。
そういう会社はもうやっていけなくなるでしょうね。
できるだけ人を使わず機械化することも考えないと。よっぽど儲かる会社以外は成り立たないですよね。
私は逆にいいことかなと思ってます。「安いから人間にやらせよう」という意識が今まで強すぎたんですよ。
人間の方が安いって考えてみたらひどですよね。
そうなんですよ。それを「もうやめる」って決断できる最後のチャンスじゃないですか。
なるほど。
人間って便利なんですよ。やっぱり。
人間は器用ですし。なんでもできますからね。
みんな我慢して真面目に働くし。機械の方が高いんですから。
付加価値を生むところにだけ人間を使わないと。もうやっていけない金額ですよね。1500円って。
やっていけないです。イノベーション圧みたいなものがかかると思う。
労働集約型の会社はどうしたらいいんでしょう?
しんどいと思います。まず人が集められない。だからさらに高い金額を提示しなきゃいけない。
たとえば宅配の仕事ってどうなるんですか?ドローンが運ぶようになるとか言われてましたけど、一向にならないし。
人が運んでるわけなのでやっぱり値上がりしますよ。
宅急便を頼むとすごく高い値段になるんでしょうか。自分で取りに行くようになるとか。
自分で取りに行くか、送ってほしいんだったら高い金額を払うか。すぐに送ってほしいとか時間指定したい場合はもっと高くなる。再配達したら2倍の料金になるとか。それが当たり前になっていくと思います。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。