国を動かす役人、官僚とは実際のところどんな人たちなのか。どんな仕事をし、どんなやりがいを、どんな辛さを感じるのか。そして、そんな特別な立場を捨て連続起業家となった理由とは?実は長年の安田佳生ファンだったという酒井秀夫さんの頭の中を探ります。
第31回 官僚出身経営者への期待
私の時代では、東大法学部のTOP層が目指すのは弁護士か役所の二択だったんです。ベンチャー精神があったり実業に興味がある人もいたでしょうが、まだ起業が一般的ではなくて、なんだかんだそのどちらかに入る方が多かった。
なるほど。そうすると、今の時代に官僚になるのは、最初から役人になりたい方ということですね。そしてやがて役所を辞めて、別の仕事に就くと。
ああ、なるほど。役所には膨大な雑務があって、なかなかやりたい仕事そのものに関われない。そう仰ってましたもんね。
今の若い世代では「経営と社会貢献」「国の仕事と地方活性化」が一体のエコシステムのようになっているような印象も受けるんです。
なるほど。確かにお金儲けが最優先であれば、役所やNPOには行かず大学生のうちに起業したりしますからね。
役人を選んだ段階で、「アメリカ型」の経営者は生まれづらいかもしれませんね。もっと日本的な起業家ならあり得る気もします。
ああ、なるほど。とはいえやはり日本も、海外の視野の広さを学んだ方がいいように思いますけどね。
そうですね。それで思い出しましたが、インドにも日本で言うマイナンバーのようなインディア・スタックというシステムがあり、それによって、決済やらその上で動かすアプリも簡単に作れるような仕組みになっていて。
ああ、知っています。若い世代が中心になって作ったんですよね。そのシステムがしっかり定着しているから、今の日本のように◯◯ペイ、◯◯ペイと、いろいろな決済サービスが乱立することもない。
そうなんです。そういう国全体の最適化を前提にしたような思想をベースにしたシステムを構想して、実現できる人がいれば、それは孫さんを超えるような起業家になると思います。そういう思想は、役人出身だったり、公共的なマインドがないと難しいかもしれませんね
ちなみに酒井さんはグローバルを視野に入れた事業はやらないんですか。「Googleを超える会社を俺が作ろう!」なんてご予定は?
ああ、なるほど。それこそイーロン・マスクみたいに「どんなに文句を言われようと進めるんだ!」という人じゃないと変えられないのかもしれませんね。そもそも人の話なんて聞いていないような(笑)。
対談している二人
酒井 秀夫(さかい ひでお)
元官僚/連続起業家
経済産業省→ベイン→ITコンサル会社→独立。現在、 株式会社エイチエスパートナーズ、ライズエイト株式会社、株式会社FANDEAL(ファンディアル)など複数の会社の代表をしています。地域、ベンチャー、産官学連携、新事業創出等いろいろと楽しそうな話を見つけて絡んでおります。現在の関心はWEB3の概念を使って、地域課題、社会課題解決に取り組むこと。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。