ビジネスを編集し直すスキル

取っただけで一生食いっぱぐれない資格を教えてほしい。子供にそう聞かれたら何と答えるだろう。医者か、弁護士か、それとも国家公務員か。確かにどれも安定した報酬を得やすい資格ではある。だが、まともな価値観を持つ人ならこう答えるのではないだろうか。「取っただけで一生食いっぱぐれない資格などない」「資格を取ることはゴールではなくスタートなのだ」と。

確かに医者や弁護士には金持ちが多い。しかし貧乏な人もたくさんいる。資格があること自体はマイナスではないが、資格を取ることがゴールになっている人はそこで成長が止まる。当然のことながら稼ぎも頭打ちになる。客観的に見れば当たり前のことなのだが、多くの人はこの当たり前の罠に嵌ってしまう。スタートをゴールと勘違いしてしまうのだ。それは会社員も経営者も同じ。

医師や弁護士の資格を得る。さて、この資格を活かしてどんな付加価値を生み出そうか。こう考える人は間違いなく成功する。まだ誰もやったことがないビジネスを編み出してもいいし、これまでにあったビジネスを進化させるのもいい。要するに何をやってもいいのだ。資格は権利であって義務ではない。

ここで重要なのは「努力し続けることが大事だ」などと安易な結論を出さないこと。医師や弁護士になる人で努力をしていない人などいない。足りないのは努力ではなく別のものである。それはビジネスを編集し直すスキル。医師免許や弁護士資格を使った既存のビジネスを「ただやる」のではなく、自分流の新たなビジネスに再編集する力。これがあれば食いっぱぐれない人になれる。

医師や弁護士という強力な資格を持つ人でさえこうなのだ。ましてや普通の会社員や経営者が既存のビジネスを「ただやっているだけ」で食えるはずがない。稼げるはずがないのである。自分に与えられた仕事、経営している会社の事業を再編集する。詰まるところ稼ぐ人と稼げない人の差はここにある。

この仕事は稼げない。この事業は儲からない。そう思うのならチャンスである。稼げない仕事を稼げる仕事に、儲からない事業を儲かる事業に編集し直せばいい。小麦粉という同じ素材を使ってもやり方ひとつで結果は変わる。ケーキにも、パンにも、うどんにもなる。ピザ、お好み焼き、チヂミ、クレープなど、ほんの少しの再編集によって、価格も顧客もマーケットも変化するのである。

 

 

この著者の他の記事を見る


尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)

 

感想・著者への質問はこちらから