第380回 専業主婦はもういなくなる!?

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第380回「専業主婦はもういなくなる!?」


安田

自民党と日本維新が「第3号被保険者を減らしていく」と宣言しています。

久野

第3号被保険者制度はいわゆる専業主婦のために作られていて。本人が働いてなくても夫の社会保険に入れる制度ですね。

安田

共働きで社保に加入している人から見ると不公平だから無くしていこうと。

久野

そういうことです。

安田

これは時代の流れとしては正しい政治的判断でしょうか。

久野

細かいことはまだ決まっていないんですが、週20時間以上働いた人は全員「社会保険に入る」という時代になっていくと思います。

安田

出来るだけ多くの人に社会保険料を払ってもらおうってことですよね。

久野

おそらく狙いは「全員厚生年金にかけさせよう」ってことでしょう。

安田

共働き家庭が増えていますし理にかなっているとは思います。ただ小さい子供がいる人や家族の介護をしている人からすると「どうすればいいんだ?」って意見が出ていまして。

久野

確かにそうなるでしょうね。

安田

子育てや家庭内介護も立派な仕事なのに「死ねって言うのか」みたいな意見がネットに溢れています。

久野

子供がたくさんいる人は税金を安くするとか、したらいいと思います。

安田

それはいいアイデアですね。

久野

ただ第3号被保険者って子供がいなくてもなれちゃうんですよ。

安田

旦那がすごく稼いでいる人なら「専業主婦がいい」って人もいるでしょうし。

久野

そうですね。そこをどう区別していくのか。子育てで忙しい人は子育て支援をしてあげた方がいいとは思いますけど。

安田

なかなか難しい問題ですね。

久野

子供のいない専業主婦の方には働いてもらって、子育て支援は子育て支援でちゃんとやろうという方向性になるとは思います。

安田

家族の介護はどうですか。子供はいないけど親の面倒を見ないといけないとか。各家庭の事情を言い出したら色々出てくると思うんですけど。

久野

そういう個別の事情に関しては免除申請を作ればいいと思います。

安田

基本的に国は専業主婦を減らしたいってことですか。

久野

そういうことだと思います。労働人口もどんどん減っていくし、働ける人は働いた方がいいんじゃないですかね。

安田

これまで国が推奨してきた「夫が終身雇用で働いて、奥さんは専業主婦で、4人家族でマイホーム建てて、老後も安泰」みたいな制度設計はもう無理だと。

久野

難しいと思います。これだけ労働人口が減っていくと。

安田

よほど裕福な家庭じゃないとサザエさんみたいな生活は無理だと。

久野

ほとんどの家庭は2人で働かないと家が買えなくなっていますので。

安田

言われてみればウチの子供夫婦もみんな共働きです。

久野

若い人はもうそれを前提として人生設計をしていると思います。

安田

もう日本から専業主婦はいなくなるってことですね。

久野

子育ての時期とか、介護の事情とか、病気の人とかを除けば、働ける人はどんどん働いていかないと。

安田

事情のある人は別途支援をしてあげて。

久野

そうなって行かざるを得ないと思います。大企業も終身雇用を約束出来なくなっていますし。

安田

これって国としての大きな方針転換じゃないですか。もっとはっきり言ったほうがいいんじゃないですかね。「もう国として専業主婦は推奨しておりません」って。

久野

言わないでしょうね。日本は感じる文化なので。

安田

「言わなくても分かってくれ。察してくれ」ってことですか?

久野

そういうことです。

安田

せめてネーミングは工夫して欲しいです。第三者被保険者制度改革みたいなこと言われても分かんない。「専業主婦はもう要りません制度」とか。

久野

だいぶ前の話ですけど「1億総活躍社会」と言っていたじゃないですか。

安田

あれはこういう意味だったんですか?

久野

そうですよ。「もう1億人全員で働きましょうね」っていうのが1億総活躍なので。

安田

だったら「1億総労働者社会」って言えばよかったのに。主婦は活躍してないってことですか?みたいになるじゃないですか。

久野

そう突っ込まれますよね。

安田

そもそも今回の改革は何が最大の要因ですか?労働力不足による財源が不足なのか。不公平だという声に応えているのか。どっちですか?

久野

やはり国家戦略として国力を上げるために、「人不足だから1人でも多くの人をマーケットに入れなきゃいけない」というのが本音だと思います。

安田

やっぱりそっちですよね。だったら「不公平だから」とか言わなきゃいいのに。「人不足だからもっと働いてくれ」って正直に言えばいいのに。

久野

言ったら選挙で落とされちゃいますよ(笑)そもそも人生100年時代に60歳引退はもう無理ですよ。

安田

年金だけでは無理ですか?

久野

だって20歳まで働いてないわけですから。40年しか働いてないのに、あと40年を年金だけで食っていくなんて絶対に無理です。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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