「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第51回 「西崎さんみたいに有名なお金持ちになりたい」と言われたら?
西崎さんは最近本を出されて、全国の学校に寄贈されてましたよね。あの本を読んだ学生に「自分も西崎さんみたいに有名なお金持ちになりたいんだけど、どうすればいいの?」と聞かれたらどうします?
うーん、なるほど(笑)。有名かどうかはさておき、経済的な部分で言うと、一番成功確率が高いのは起業して経営者になることかなと。
経営者ですか。でも稼ぐっていう観点なら、いろいろな稼ぎ方があるじゃないですか。プロ野球選手になるとか、芸能人になるとか、YouTuberになるとか。そういうものと比較して、経営者なら高確率で稼げるって感じですか。
そう思います。プロ野球選手なんて、まず何万人に1人がなれるか、みたいな世界じゃないですか。芸能人やYouTuberも成功するのは一握りです。それに比べて経営者ってなろうと思えば誰でもなれるし、好きなことを自分で決めて好きにやれる自由度も含めて、やりやすい気はしますね。
なるほど、私も個人的には同感なんです。ただね、「好きなことをやって好きなように稼げば金持ちになれる」っていう発想を持ってる人って、ものすごく少ないでしょう? 変な話、プロ野球選手を目指すより起業は怖いと言うか、失敗したら破産するみたいなイメージじゃないですか。
確かにそうですよね。学校でも「起業のやり方」とか教えてくれませんしね。でも、まぁ自分がそういう道を進んできたからかもしれませんが、皆さんが考えるほどリスクが高い選択ではないと思ってます。
なるほど。ちょっとお聞きしたいんですが、もしかして西崎さんのご両親は商売人だったりしませんか?
ああ、そうです。父親が社会保険労務士で、自宅で仕事をしていたので、その影響もあるのかもしれませんね。
やっぱり。幼い頃からそういう姿を見ているのって大きいですよね。でも考えてみれば、昭和の始めの頃までは自営業の人の方が多かったんですよね。それが戦後から徐々に会社員の比率が増えていって、今では「親子三代サラリーマンです」という人たちもいる。
確かに言われてみればそうですね。そして今では、ちゃんと就職して朝から夕方まで働く生活が普通になっている。
そうそう。会社に所属してタイムカードを切って働くのが当たり前で、そうじゃない生き方はリスキーだと思われているわけです。親御さんの立場でも、子どもが「就職せず起業する!」って言ったら多分心配するんじゃないでしょうか(笑)。
そうかもしれませんね(笑)。でも個人的な体感では、そんなに差はないと思いますけどね。実際起業してからも、仕事内容としてはサラリーマン時代とあまり変わりませんでしたし。要は、仕事を自分の責任でやるかどうかの違いだけなんじゃないですかね。
ふ〜む、なるほど。ちなみに会社を始めるって言った時、ご両親からは反対されました?
いや全然(笑)。「あなたらしいね」とは言われましたけど、反対はされませんでしたね。まぁ、僕が会社員に向いてないっていうのが、よくわかっていたのかもしれません。
へぇ。西崎さんは会社員に向いてなかったんですか。
そうですねぇ。性格的に、ルールに縛られるのは苦手で(笑)。そういう意味では、起業したかったというより、自由にやりたいから自分で会社をやるしかない、という感じかもしれませんね。
ああ、私も似たタイプでした。小さな頃から、決められたことを決められた通りにやるのが苦手で。社会にはそういう人も一定数いる。ただ、逆に「ルールを決めてもらった方がやりやすい」「自分で全部決めるのは負担だ」という人も大勢いるわけです。そういう人についてはどう思いますか。
もちろんいろいろな考えの人がいると思うので、自分に合った働き方を選ぶのが一番いいと思います。先ほど「経営者のリスクはそこまで高くない」とは言いましたけど、かといって別に楽々進める道でもないわけで。
確かにそうですね。じゃあそういう人は無理に起業せず、会社員になった方がいいと。
もしくは、僕らみたいなタイプもフィットできる会社、たとえばトゥモローゲートみたいな会社に入るとか(笑)。
なるほどなるほど(笑)。ちなみに、もう1つの「有名になる」という観点ではどうですか。学生さんだと特に、街を歩いてたら「西崎さんですよね」なんて声をかけられるのに憧れたりするものだと思いますが。
いや~、なんというか、「有名になることが必ずしもいいことじゃないんだよ」とは言いたいかな(笑)。チヤホヤされていいなぁと思われるのかもしれませんが、その代わりに大変になることも多々あるので。
まぁ、そうですよね。飲み屋さんで酔っ払って暴れたりできないし(笑)。
いや、元からそういうことはしませんけどね(笑)。
それは失礼しました(笑)。でも、やっぱり常に「見られている」と思いながら生活するのは大変でしょうね。ともあれ、「そういうリスクを背負ってでも有名になりたい!」って学生さんがいたらどうします?
うーん(笑)、まぁでも、今ならやっぱりSNSを活用することじゃないでしょうか。昔なら大金を払ってテレビなんかに出るしかなかったけど、今なら無料でいろいろ情報発信できるわけですから。しかも全世界に向けて。
確かに確かに。ということで、学生さんはぜひ参考にしてみて下さい(笑)。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。