今日は「借景」を大事にされている中島さんならではの企画を考えてきたので、提案したいなと思いまして。それが「借景巡り」という企画なんです。

ですよね（笑）。中島さんが作るお庭って、近所を歩いているだけで素敵な景色になっていると思うんです。つまり、その家に住んでいる人にとっては外の景色が借景になるのと同時に、近所の人にとってはその家の庭が借景になるということですよね。

私はその感覚をもっと広げていきたいんですよ。「自分の家の庭」だけじゃなく、街全体を大きな景色として捉えるというか。だから「借景巡りロードマップ」みたいなものを作ってホームページで紹介するのはどうかなと思って。

そうですよね。direct nagomiさんのある岐阜の美濃加茂市に限定して、「美濃加茂借景巡り」にしてもいいし、岐阜まで拡大して「岐阜借景巡り」でもいいと思うんです。

そうそう。「歴史を学びながら借景を楽しむ」なんてことができたら最高ですよね。中島さんご自身も、普段から勉強の一環で山や街を歩いたりしているじゃないですか。そこで印象に残った景色を発信することで、それを見た方の感性を育てることにもつながる気がして。

そうなると思いますよ。地方の景色が漫画に取り上げられて「聖地」になったりするように、借景も同じように注目される可能性もあると思うんです。

そうですそうです。そのためまずは「美濃加茂で借景巡りをするならこのルートかな」とか「岐阜のこの町だったらこのルートかな」と中島さんがいいなと思う景色をルートマップにするんです。

そうなんです。景色って無料で楽しめるうえに、心を豊かにしてくれるものでしょう？　スマホばかりに目が行きがちで、景色を見るゆとりがなくなってきている中、「借景」という日本の大事な文化を思い出すことが必要なんじゃないかと。

ええ。日本人の感性が貧しくなっていくことが、国としての貧しさにもつながっているような気がして。私はここをなんとかしたいわけです。

ええ、まさに。とはいえそこまで重く考える必要はないと思うんです。あくまで趣味の延長のような感じでいい。例えば「この3本目の木の右側に立って、この方向に向いて写真を撮ってみてください」みたいなガイドがあったら、楽しいじゃないですか（笑）。

そうですよ（笑）。でもこれから気づいた時に写真を撮っていけば、いつか「借景の師匠」的な存在になっていくかもしれない。

いいですね。もう今は「早い・安い」が最優先という時代でもなくなってきましたからね。テクノロジーの進歩も海外の方が進んでいるし、景色や建物との調和を楽しむ感性こそが「日本の魅力」となっていくのかもしれないなと。