第51回 年収700万円で独立し、1000万円のお店を構える世界?

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第51回 年収700万円で独立し、1000万円のお店を構える世界?

安田

前回の対談に続き、今回も「美容師さんの独立事情」についてお聞きしていきたいと思います。美容師さんが独立を考えるのって、技術力がついてきて、固定客も増えて、「これなら自分1人でもやっていけるぞ」と思った時ですよね?


岩上

そうですね。「これだけ稼げてるんだから独立しても大丈夫だろう」と判断するわけです。そういう意味では「一定レベルの技術力がある」というのは独立の最低条件でしょうね。

安田

なるほど。でも、かといって「技術があれば必ずお客さんが集まる」というわけでもないように思うんですよ。美容室はいかにリピート客を作るかだと岩上さんも仰っていましたけど、それも技術力だけの問題じゃないでしょう?


岩上

仰るとおりです。実際僕も、独立ではないですが新店舗の店長を任された時、ものすごく下手だったのにリピート客はたくさんついてくれまして(笑)。

安田

えっ、岩上さんさっき「技術力は最低条件だ」って言ってたじゃないですか(笑)。


岩上

ねぇ(笑)。でも要するに、僕はその時点ではまだ独立の最低レベルに達してなかったんだと思います。実際そこから猛練習して、独立する頃までには一応はちゃんと切れるようになりましたしね。

安田

なるほどなぁ。でもそれって、「技術力だけでは成功できない」ということの証明にもなっちゃってますよね。高い技術力があるからといって独立しても、必ずしもリピーターがたくさんつくわけではないという。


岩上

仰るとおりだと思います。この対談でも再三にわたって「コミュニケーション」の重要性を話させていただいていますが、お客様がまた来たいと思えるような雰囲気づくりができなければ、せっかくの高い技術力も宝の持ち腐れでしょうね。

安田

なるほどなぁ。ちなみに独立して自分のサロンを構えるとして、「これは成功したね」と言えるのはどういう状況なんでしょうか。


岩上

そうですねぇ。仮に「お店が10年続くこと」を成功だとすると、「顧客の8割以上がリピーター」という状態にならないと難しいんじゃないかな。

安田

ははぁ…そんなに。まさに「美容院はリピーターで成り立っている」わけですね。ちなみに自分のお店を作ろうとすると、費用はいくらぐらいかかるもんなんでしょう。


岩上

ちょうどこの前、ウチから独立したスタッフがいますけど、その子は1000万円かけていましたね。

安田

1000万円というのは、高い方?


岩上

20年くらい前だったら500万円もあれば開業できていたんで、個人的には「ずいぶん高いなぁ」と思っちゃいました。でも今は材料費や人件費なんかが上がっていますから、それくらいの金額が妥当なんだと思います。

安田

お店を構えるのに1000万円か…。なかなかの金額ですが、皆さん、どれくらい稼げるようになると独立を考えるようになるんですか。


岩上

ほとんどの美容師が、月平均60万円、年間で700〜800万円くらいの売上が取れるようになると、「そろそろ独立を…」と考え始めますね。

安田

え、ちょっと待ってください。年間700万円の売上しかないのに、1000万円かけてお店を作るってことですか?


岩上

そうなんですよ(笑)。ただし独立する時の絶対条件が、売上の大半がリピーターのお客様で成り立っているという状態なので。そうすると、雇われている時に月60万円くらいなら、独立すれば月100万円くらいはいくだろう、と見込むわけです。

安田

うーん…でも、たとえ100万円の売上があっても、そこから家賃や材料費なんかが差し引かれるわけですよね。しかも銀行から借り入れてお店を作っていたら、その返済もあるわけで。…やっぱり計算が合わないですよ(笑)。


岩上

そうですね。1人でお店をやっているのであれば、年間1500万円いったらかなり頑張ってるよね、という感じじゃないかなぁ。

安田

そうなんですね。私はてっきり、独立して自分のお店を構えたら、2〜3000万円くらいポンッと稼げるのかと思っていました(笑)。いやぁ〜美容師さんの世界ってそうなっているんですね。興味深いお話をありがとうございました!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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