安く仕入れて高く売る。人に関しても商品に関してもこの発想で利益を増やすことはもう無理である。それが可能なのは業界トップの規模を持つ会社だけ。拡大し続ける覚悟がないのであればビジネスモデルを見直すしかない。スケールメリットに頼らず一人あたりの収益を最大化していくのだ。
いかにして商品の付加価値を高めるか。いかにして一人ひとりの付加価値を生み出すか。この発想がない中小企業はもう生き残ることができない。なぜなら報酬を増やす手段がないから。報酬を上げられなければどんどん人が離れていく。新たに採用しても離職率は下がらず投資コストを回収できない。
ではどのようにして商品やサービスの付加価値を高めていくのか。どうやって一人ひとりの付加価値を最大化するのか。すべては採用と組織づくりによって決まる。事業に必要な人を採用して仕事を割り振るやり方は、既存の組織づくりのパターンである。これで生き残るには徹底した規模の拡大しかない。
小さな会社はこの真逆の発想で組織づくりを進めなくてはならない。事業ではなく人からスタートする。今いる人材の特徴を活かして一人ひとりの役割を決める。役割を組み合わせて新たな価値を生み出す。生み出した価値に合わせて新たな集客に取り組む。この順番で考えないと小さな会社は生き残れない。
組織を大きくしたいならバランス重視の人材採用。組織を大きくせず一人当たりの収益を高めたいなら偏った人材採用。まずここを間違えないようにすること。どんなに凄いスキルでも全体のバランスを崩す人は大きな組織には不向き。どんなに従順でも何らかの特性を持たない人は小さな組織には不向きなのだ。
決められた作業をきちんと実行できる人を大量に集める。そのために同業他社以上の待遇を維持し続ける。これがひとつ目の組織づくり。偏った人材を集めて組み合わせることで新たな価値を生み出す。一人当たりの収益を最大化する。これが二つ目の組織づくり。小さくてもやりがいと報酬を両立できる。
いずれにしても中途半端はもう無理なのである。徹底的に拡大していくか個性を組み合わせた新たなビジネスモデルを作り上げるか。正直どちらが正解というものではない。どちらが自分に適しているのか。経営者はまずこれを自分に問い掛けなくてはならない。拡大か創造か。選べる道は2つしかない。
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