第97回 万代は地方都市の「インフラ」である

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第97回 万代は地方都市の「インフラ」である

安田

万代さんは地方を選んで出店されていますが、今って地方の将来が不安視される場面も増えていると思うんです。道路や水道などの生活インフラがあちこちで破損していて、修理もままならなかったりもしますし。


倉橋

確かにそういうニュースがよく流れてますもんね。

安田

ええ。地方自治体の数自体が何十分の一になるかもしれないと言われている中で、地方をビジネスの場に選ぶことには、リスクは感じないですか? 


倉橋

もちろんリスクについても考えていますよ。ただそのリスクを考えても、「地方=ライバルが少ない」という点の魅力がそれ以上なので。プラマイで考えたらプラスの方がずっと大きいなと。

安田

ふ〜む、なるほど。確かに都心に比べれば、同業他社は少ないでしょうしね。ともあれ、人口自体も少ないわけじゃないですか。


倉橋

仰る通りもともとのマーケットが小さいので、そこに合わせたビジネスモデル設計は必要ですよね。だから例えば人口15万人のエリアで出店するなら「人口15万人用のビジネスモデル」を作ります。

安田

なるほど。それで成功すれば「他の人口15万人のエリア」にも横展開できそうです。


倉橋

仰るとおりです。それから最近では地方の優秀な人材を採用するための戦略にも力を入れていて。地方都市で「誰もが驚くような初任給を提示すれば採用に強いのでは?」という仮説検証をしているところで。

安田

ああ、それは採用面では大きな武器になるでしょうね。


倉橋

そうでしょう? なので今年から初任給を30万円に設定したんです。ユニクロさんは初任給30万円がスタンダードなんですけど、同じ水準を地方で出すのはかなりインパクトがあるんじゃないかと。

安田

えっ、それはすごい。北海道とかだったら、圧倒的ですよね。他の企業からは嫌がられそうですけど(笑)。


倉橋

まぁ、嫌がられてるかもしれませんね(笑)。でも今はもうXの固定ポストにも書いてますので。学歴も問いませんし、未経験でも全国転勤ができる方なら一律30万円。それを発表してからすでに50人くらい応募がありました。

安田

へぇ、そりゃ来るでしょう。でもそうなると当然、社内の既存社員の給料も上げなきゃいけないわけですよね。

倉橋

それはもちろん。今はガソリン代も上がってるし、物価も高騰してるのに給料が据え置きだと、社員は貧しくなるだけですから。とにもかくにも会社が「給料を上げる」と宣言し、実際に行動に移すべきだと思いますね。

安田

いや〜、素晴らしいですね。そういう動きは、地域全体にも好影響を与えそうです。よく外資が来ると地域全体の人件費水準が上がる、みたいな話がありますけど、それを日本企業がやっていると。

倉橋

そうなったら尚良しだと思いますね。それで地域が活性化してくれたら、うちの売上もアップするでしょうし。

安田

確かになぁ。ただそうはいっても、冒頭話したような人口減のリスクはあるわけじゃないですか。完全にいなくなるわけではないにしても、今以上に特定の都市に人が集中する可能性はあると思うんです。

倉橋

それでいうと、出店するエリアは「地域内のキャピタル」にあたる都市に絞っています。例えば東北でいえば仙台、北海道なら札幌。十勝地方なら帯広、オホーツク地方なら北見というように、エリアの中心都市を選んでいるわけです。

安田

なるほどなるほど。さすが抜け目ないですね(笑)。

倉橋

ありがとうございます(笑)。一応、何十年も商売をやらせていただいていますので。でも実際、全国的に見ればお祭りなんかも減ってきていて、人が触れ合う場がなくなってきてるのは事実なんです。だからこそ万代がそこを埋められたらいいなぁと。

安田

ああ、確かに。娯楽が減ると、日常にハリがなくなっちゃいますしね。

倉橋

そうなんですよ。だから僕自身も万代を「ただのビジネス」ではなく、ある種の「社会貢献」という意識で頑張っている。しっかりとした使命感を持って、真剣にやっているというか。

安田

いやぁ、重ね重ね素晴らしいです。万代が地方都市の「インフラ」となる日も近そうですね!

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから