企てのない企画書

読んで字の如く。
企てを図る提案書だから企画書。
日本語は実によくできている。
では企てとは何なのか。

「これをやったらさぞや面白いことになる」
「みんなをあっと驚かせることができる」
という企みのことである。

提案書なのだから
当然のことながら提案する相手がいる。
その人に「こんな企みを実行して
みんなをアッと驚かせましょうぜ」と提案をする。

相手が「こりゃあ面白いな。やろう、やろう」
と言ってくれれば商談成立なのである。
だが現実の企画書はどうだろう。

私が提案された企画書で「これは面白い!」
とワクワクした経験は1割にも満たない。
ほとんどの企画書は商品説明に見積りが添付された
「単なる分厚い商品説明書」に過ぎず、
面白さのかけらもないものである。

誰かに何かを売りたいのなら、
まずは企画書を作ってみることだ。
そして作った企画書を自分自身に提案してみる。
提案された自分は「こりゃ面白い!やりたい」
となるだろうか。
あるいは「つまらない」「ありがち」「よくわからない」
となってしまうのか。

自分がワクワクしない企画は相手もワクワクしない。
そしてワクワクを演出できない商品は儲からない。
相手の損得に訴えるほか売る方法がないからである。
儲かるビジネスをやりたいのなら
面白い企画書を作り上げること。
ここがスタートである。

まずはタイトル。
タイトルがつまらないビジネス書は売れない。
思わずページをめくりたくなるタイトルを考えるのだ。
そして目次。
目次とはワクワクする見出しの陳列棚である。

興味のあるビジネス書に出会ったら
人は必ず目次をチェックする。
そこに「読んでみたい」と好奇心をそそる
テーマが書かれているかどうか。
これが売れるかどうかの境目なのだ。

第1章はこの提案書を作った背景。
今の状況をどう捉えているのか。
ここで共感を得ると同時に
独自性を出さなくてはならない。

第2章は「こんなことができたら
面白くないですか」という提案。
ここで読む人の心をグッと惹きつける。
第3章で必要なのはアイデアである。

提案を実現するためのとっておきの作戦。
「なるほど!その手があったか」という
驚きがあれば相手はさらに引き込まれていく。

「で、それをやるにはいくらかかるの?」
と知りたくなったところで見積りの章が登場する。
「やりたい」という気持ちが見積りを上回るかどうか。
すべての章はこのために存在する。

自分に売れない企画は他人にも売れない。
自分をワクワクさせることが企画の本質なのである。

 

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