第90回 人にしかできない仕事

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

先日、小学生の娘とコンビニで買い物をしましたが、
セルフレジで支払いたいとのことで、
二人で支払いをしてきました。
まあ簡単で、十秒ほどで決済完了となりました。
娘は楽しかったらしく、
「こんなに楽しくお金もらえるならいいなー」
とコンビニの従業員を羨ましがっていました。

仕事はレジ打ちだけではないよと
言ってはみましたが、
従業員にとっては、
金額を間違って怒られることもなくなり、
相当楽な仕事になっているのは確かです。
おおむね誰でもできる仕事になっています。

コンビニの経営者からすると、
従業員を雇うより、
セルフレジを一台導入したほうが、
長い目で見るとコストの削減になります。
バイト代を上げろとか、
テストがあるので休むだとか、
旦那がむかつくだとか、
そんな対応で右往左往することもありません。

そもそも、
マネジメントする側にとっては、
自分でできることや誰でもできる仕事を
他の人にやってもらうことには、
お金をかけたくないものです。

私の小さな家族商売でも、
雑務をやってもらうために、
誰か一人雇おうかなという気になりますが、
人を雇わずにできる方法を模索しています。
なぜなら、
人件費が高いということと、
人に関わる自分の労力がかかるのを知っているからです。

このコラムの編集長である安田さんは、
「社員は贅沢品」
と断じていらっしゃいますが、
“言い得て妙”と感じざるを得ません。

それでもなお、
社員を欲しがる経営者は
何を求めているのでしょうか?
おそらく
同じ目的を持って日々活動できる人、
つまり仲間を求めているのでしょう。

そう考えると、
感情の起伏なく正確な仕事をする
ロボットがもたらしたものは、
コストの削減や仕事の単純化という
ことだけではなさそうです。

それは、組織が本来持つべき、
“所属する人の意思の共有”のようなものを
あぶり出しているような気がします。

いろんな仕事を生み出した組織が、
ロボットによって仕事を整理整頓したところ、
組織に残ったものは、
あーでもない、こーでもないと、
試行錯誤しつづける関係性でした。
ということかなと。

 

著者の他の記事を見る


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから