第162回 経営者・中辻麗、社員に戻る?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第162回 経営者・中辻麗、社員に戻る?

安田

実は私、社長を20年ほどやって会社を畳んだ後に、一瞬だけ「もう1回就職しようかな」と思ったことがあったんです。


中辻

えっ、そんなこと考えたんですか?!(笑)

安田

まぁ、周りからは「絶対無理だから止めておけ」って止められたんですけどね(笑)。でも中辻さんだったら、仮に社員に戻ったとしても上手くやれそうな気がするんですよ。どうでしょう、もう一度社員に戻るとしたら、以前の自分とは変わると思います?


中辻

間違いなく変わると思います。経営者にとってすごく使いやすい社員になれるんやないかなと。

安田

あ〜なるほど。経営者の立場を経験しているからこそ、経営者目線で考えられる社員になれるというわけですね。


中辻

そうですそうです。会社に求められていることに120%で返すという姿勢は、社員時代から変わっていないんですけどね。ただ今だったらもう少し「大人」な対応ができるかなと(笑)。

安田

大人な対応…それはどういうことですか?


中辻

『ペイント王』に勤めていた頃って、自分が一本筋を通して仕事をしていたがゆえに、いい加減な働き方をしている人に対してめっちゃ腹立っていたんですよ。

安田

あー…どこの会社にも、まだ勤務時間内なのにだらだらお喋りしていたりタバコ休憩ばっかり取っていたりするような人、いますもんね。


中辻

そう、本当に! で、昔はそういう人たちに対して「そんなことばっかりしているから仕事できないんですよ」とか「アナタたちみたいな人は会社にとってマイナスになるし、辞めたらどうですか?」みたいなことも平気で言ってまして…(笑)。

安田

正論ではありますが、なかなか煽ってますね(笑)。でも今ならそういう人もニコニコと許せる、と。


中辻

いや、許すわけではないです(笑)。でも例えば「定時までの30分で、これを手伝ってもらえませんか?」みたいな感じで、もう少しうまく歩み寄れるかなと思います。給料って会社のお金から払われているのに、社員がちゃんと仕事しないとそのお金がもったいないじゃないですか。

安田

なるほどなぁ。それにしても中辻さんは、やっぱり社員時代から「経営者気質」だったんですね。


中辻

そうなんかなぁ…。私としては、今も昔も「ペイント王の久保社長に恩返しをしたい」という思いが強いんですよね。私が正論をぶちまけてしまうことで周りの社員から攻撃をされてしまった時も、久保さんはいつも守ってくれましたし。他にも、私が仕事しやすいように、パソコンとか使いたいソフトとかもすぐに導入してくれたりもしたんですよ。

安田

ほう、そうだったんですか。


中辻

しかもね、まだ私が入社3日目くらいの時に、会社のゴールドカードを渡されてるんですよ(笑)。「これでチラシの発注、しといて」って。入社してまだ間もない、どこの馬の骨かもわからんような小娘に、そんなことするの? と思いつつも、逆にこれは信頼されている証なんだから、絶対に裏切れないなと思ったことをいまだに覚えています。

安田

中辻さんはそれを「信頼」と受け取ったんでしょうけど、中には「あ、この会社も社長も緩いな」と受け取る人もいると思うんですけどね。


中辻

あ、そういう取り方もあるのか。 …でもきっと誰にでもゴールドカードを渡すわけではないので、私は「信頼されたから渡してもらえた」と受け取りたいですね(笑)。

安田

中辻さんのように捉える人の方が少ない気がするので、やっぱりその解釈の差が、その後の成長の差にも繋がってくるような気がします。ちなみに中辻さんがどこかの会社の社員になったとして、会社からの指示とお客さんの満足度の間に、ズレがあった場合はどうします?


中辻

え、それは会社に言いますよ、絶対。

安田

でも会社が「いいから黙って言う通りにやれ」って指示してきたらどうします?


中辻

えー、それはキツいなぁ…。たぶん最初は黙って言う通りにやるかもしれないですね。その結果、お客様に不利益なことがあったり、満足度が足りなくてお客様が離れていってしまうことが続いたら、もう一度会社に言うと思います。

安田

それでもわかってもらえなかったら…?


中辻

その時は「この会社はアカンな」って去るかもしれないですね。

安田

なるほどなるほど。そう意味では、中辻さんってオーナー社長から直接仕事を任せられるとすごく活躍するタイプなんでしょうね。大企業みたいな組織だと、ある程度「周囲との調和」が大事になってくるんで、そういう中だと中辻さんは浮いちゃうかもしれない(笑)。


中辻

うん、浮きますね(笑)。そういう環境は無理だと思います。

安田

これまでのお話を聞いていると中辻さんは社員に戻っても大丈夫なタイプの経営者だと思うんですが、多くの「元・社長さん」って、組織で使えない人がすごく多いんですよ(笑)。


中辻

そうなんですか(笑)。経営者としての苦労を知っているからこそ、いい社員になりそうな気がしますけど…。

安田

現実はそうではないんですよね〜。自分も経営者だったのに、次の経営者にやたらと厳しかったり、組織の中で周りとうまくやれなかったりするんですって。中辻さんが今後どうしても社員に戻らなくてはいけないとなった時、不貞腐れることなく100点満点の社員を頑張れる自信はありますか?


中辻

そうだなぁ…その会社に対して愛が芽生えたら、ちゃんとやっていける自信はあります。そのためにも、尊敬できる社長や社風かどうかという点は重要ですけど。

安田

ふむふむ。じゃあ労働条件や給料のためだけに、会社から言われた通りに働くっていうのは難しい?


中辻

そうですね。…でもこれって、今が金銭的にも精神的にも落ち着いているからこそ言えることなのかもしれないです。例えば今、「貯金が10万円しかないのに、家のローンも車のローンも払わなきゃいけない!」という状況に陥っていたら、そんな綺麗事も言ってられない気もします(笑)。

安田

確かに(笑)。でも例えどんな環境でも、中辻さんだったらしっかり活躍できると思いますよ!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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