「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第162回 経営者・中辻麗、社員に戻る?

まぁ、周りからは「絶対無理だから止めておけ」って止められたんですけどね(笑)。でも中辻さんだったら、仮に社員に戻ったとしても上手くやれそうな気がするんですよ。どうでしょう、もう一度社員に戻るとしたら、以前の自分とは変わると思います?

あ〜なるほど。経営者の立場を経験しているからこそ、経営者目線で考えられる社員になれるというわけですね。

『ペイント王』に勤めていた頃って、自分が一本筋を通して仕事をしていたがゆえに、いい加減な働き方をしている人に対してめっちゃ腹立っていたんですよ。

そう、本当に! で、昔はそういう人たちに対して「そんなことばっかりしているから仕事できないんですよ」とか「アナタたちみたいな人は会社にとってマイナスになるし、辞めたらどうですか?」みたいなことも平気で言ってまして…(笑)。

いや、許すわけではないです(笑)。でも例えば「定時までの30分で、これを手伝ってもらえませんか?」みたいな感じで、もう少しうまく歩み寄れるかなと思います。給料って会社のお金から払われているのに、社員がちゃんと仕事しないとそのお金がもったいないじゃないですか。

そうなんかなぁ…。私としては、今も昔も「ペイント王の久保社長に恩返しをしたい」という思いが強いんですよね。私が正論をぶちまけてしまうことで周りの社員から攻撃をされてしまった時も、久保さんはいつも守ってくれましたし。他にも、私が仕事しやすいように、パソコンとか使いたいソフトとかもすぐに導入してくれたりもしたんですよ。

しかもね、まだ私が入社3日目くらいの時に、会社のゴールドカードを渡されてるんですよ(笑)。「これでチラシの発注、しといて」って。入社してまだ間もない、どこの馬の骨かもわからんような小娘に、そんなことするの? と思いつつも、逆にこれは信頼されている証なんだから、絶対に裏切れないなと思ったことをいまだに覚えています。

中辻さんのように捉える人の方が少ない気がするので、やっぱりその解釈の差が、その後の成長の差にも繋がってくるような気がします。ちなみに中辻さんがどこかの会社の社員になったとして、会社からの指示とお客さんの満足度の間に、ズレがあった場合はどうします?

えー、それはキツいなぁ…。たぶん最初は黙って言う通りにやるかもしれないですね。その結果、お客様に不利益なことがあったり、満足度が足りなくてお客様が離れていってしまうことが続いたら、もう一度会社に言うと思います。

なるほどなるほど。そう意味では、中辻さんってオーナー社長から直接仕事を任せられるとすごく活躍するタイプなんでしょうね。大企業みたいな組織だと、ある程度「周囲との調和」が大事になってくるんで、そういう中だと中辻さんは浮いちゃうかもしれない(笑)。

現実はそうではないんですよね〜。自分も経営者だったのに、次の経営者にやたらと厳しかったり、組織の中で周りとうまくやれなかったりするんですって。中辻さんが今後どうしても社員に戻らなくてはいけないとなった時、不貞腐れることなく100点満点の社員を頑張れる自信はありますか?

そうですね。…でもこれって、今が金銭的にも精神的にも落ち着いているからこそ言えることなのかもしれないです。例えば今、「貯金が10万円しかないのに、家のローンも車のローンも払わなきゃいけない!」という状況に陥っていたら、そんな綺麗事も言ってられない気もします(笑)。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















