第161回 白黒ポテチが売れなくなった理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第161回 白黒ポテチが売れなくなった理由

安田

カルビーの白黒ポテチをよく見かけるようになりましたよね。染料の原料が手に入らなくなって、パッケージを白黒に変えたという。


倉橋

話題になりましたよね。ただ僕はあれを見たとき、ちょっと難しいんじゃないかなとは思いましたけど。

安田

ああ、やっぱり。実際、最初こそ話題性で売れたものの、そこから3〜4ヶ月連続で月間売上が下がり続けているらしくて。


倉橋

一時的に売れたのは「珍しいから」であって、リピートはしないでしょうからね。

安田

ええ。私も実は買ったんですけど、確かに2回目は買っていないんです。たかがパッケージの色だけでそんなに売上に影響が出るのかって、正直驚きました。なんかシズル感が薄れるというか、もう1枚取りたくなる感じがなくなるというか。


倉橋

わかります。カルビーのあの袋って、もう完全にブランディングされているじゃないですか。しかもポテトチップスの袋を開ける瞬間って、食べているときより楽しいと思うんですよ。あと数秒で食べられるというあのワクワク感を含めた体験が、長年のブランドなので。

安田

確かに。でもそこまでブランドができていれば、中身が同じなんだからファンは応援するのかと思いましたけどね。でも現実には売れなくなっている。


倉橋

消費者は買い物を心で決めてますからね。そもそもスーパーに入るとき、今日何を買うか決めている人ってほとんどいないんです。その場で心が動いたものをカゴに入れている。だからポテチって「買おう」と思って行くというより、気づいたらカゴに入っている商品なんです。

安田

ああ、確かにそうですね。買い物のついでについカゴに入れちゃっている感じです。でもそうやって入れていると、最後にいつも反省することになるんですよね。「さすがにちょっと買いすぎたな」って(笑)。


倉橋

わかります(笑)。でもそれはポジティブな気持ちで買い物ができている証拠なので、いいことだと思いますよ。ネガティブな気分のときって、買い物はものすごく少なくなるので。

安田

へぇ、そうなんですね。


倉橋

ええ。ちょっと多く買ってしまう時って、「子どもが喜ぶかな」とか、「家族にこれ食べさせたいな」とか、ポジティブな気持ちになっているんです。

安田

ははぁ、なるほど。言われてみればいいことがあった日ってたくさん買い物しますもんね。ちなみに万代さんでも白黒ポテチは扱っていたんですか。クレーンゲームの景品にもポテチは入りそうですけど。

倉橋

一時期は入れていました。先ほどのお話のように、皆さん一度は手に取るんですけど、本当に一回で終わるんですよ。SNSにも同じものを二回は上げないじゃないですか。もうお役御免みたいな感じで。今はもう元のデザインのものに戻しています。

安田

なるほどなぁ。味は変わっていないはずなのに、白黒の袋から出てきたポテチって味も違って感じるんですよね。同じものなのに、なんだか美味しくないような気がするというか。

倉橋

恐ろしいですよね。今まで楽しかった記憶、パーティーで食べたとか、こっそり夜中に食べたとか、そういう思い出とあのパッケージが結びついているんですよ。味の記憶と気持ちの記憶が一体になっている。

安田

脳に刷り込まれているんですね。私はこのまま白黒でも定着するんじゃないかと思っていたんですけど、全然そんなことはなかった。買い物って頭脳で判断しているようで、実は感情で決めているんですね。

倉橋

そうですね。だからパッケージデザインやブランディングっていうのは、本当に深い世界なんですよ。あのカルビーのポテチでさえこうなるわけですから。たかが袋の色、されど袋の色です。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから