第391回 保険営業マンが食えなくなる時代

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第391回「保険営業マンが食えなくなる時代」


安田

ソニー生命でも不正で捕まる人が出ました。一昔前はプルデンシャルやソニー生命ってすごく企業イメージが良かったのに。

久野

元々商品は良いし、人材レベルもすごく高いのがこの2社の特徴ですね。

安田

そう。人材レベルもすごく高いイメージ。有名企業からエース級の社員を引き抜いてきて。なぜこんなことになっているのか。

久野

顧客の依存が強すぎるのかもしれませんね。相手を信じて全てを渡しすぎちゃっている感じ。普通はこんなことにならないですもん。

安田

普通はなりませんか?

久野

ならないですね。入り込みすぎですよ。

安田

これを機にプルデンシャルは100%歩合の営業を辞めると言ってます。ただ固定給を増やすと「ノルマが増えて逆に大変になる」「稼げる営業が辞める」なんて言われていて。

久野

元々歩合だけで食えてる人ってそんなにいないんですよ。

安田

そうなんですか?

久野

はい。だから固定給を入れるのはむしろ時代に合っていると思います。完全歩合のために死ぬほど高速回転して辞めていく人が山のようにいる業界なので。

安田

じゃあ社内的にはむしろ歓迎されていると。

久野

そう思います。「社内騒然」とかニュースになってましたけど、「良かった」と思ってる人も8割ぐらいいるんじゃないですか。

安田

新卒の営業マンでも固定給は2年ぐらいで終わるみたいですね。身内や親戚に売って、売る相手がいなくなったら辞めていくみたいな。

久野

それはよく聞きますね。

安田

久野さんは社保がおすすめですよね?民間の保険は好きじゃないんですか。

久野

いやいや。個人では民間の保険にもお世話になってますよ。

安田

積み立て式の保険は無意味だっておっしゃっていませんでしたっけ?

久野

そうですね。積立はDCでいいと思います。

安田

民間の生保は掛け捨てだけで十分だと。

久野

そう思います。昔は自分で資産運用する方法がなかったので積立保険もアリだったんでしょうけど。今は少額でも自分で簡単に運用できますから。

安田

確かにそうですね。

久野

「保険と資産運用の組み合わせがベスト」という広告には違和感があります。YouTubeやSNSでもそこを指摘されていて。保険営業は今ここが1番の課題じゃないですか。

安田

「民間保険で資産運用するやつはバカだ」って言われてますよね。

久野

バカだとは思いませんけど。「ベストではないよね」ってことが分かってきちゃった。

安田

確かにそうですね。「いざという時の補償」と「資産運用」は分けてやった方がいいに決まっているわけで。

久野

そうなんですよ。だけどそれでは保険営業が成り立たない。少なくとも今までと同じ仕組みでは成り立たないです。

安田

資産運用益で営業マンに高いインセンティブを払ってきたわけですもんね。

久野

はい。

安田

掛け捨て保険だけでは成り立たないですか?

久野

会社は問題ないと思うんですよ。元々の商品が儲かるようになっているわけで。保険って基本的には確率の話なので。

安田

確かにそうですね。胴元は絶対に損をしないはず。

久野

そう。売った瞬間に絶対に損をしない構造になってる。例えば今って自動車事故が減っているのに保険料は上がっているわけですよ。

安田

それはなぜ?

久野

物価が上がって新車価格も上がっているから。そうやって自分たちの利益を確保するわけです。

安田

なるほど。保険会社は絶対に損をしない設計になっていると。

久野

そう。そもそも保険って絶対に無くならないじゃないですか。

安田

何かあった時の補償は必要ですもんね。確率論で言えば10万人に1人は早死にするわけで。お互いが支え合う制度は必要です。

久野

大手保険会社はこの先もさらに収益を上げていくと思います。

安田

ただ人間の営業マンは要らなくなるかもしれないと。

久野

今はAIがありますから。AIに自分の年齢や資産を読み込ませると最適な保険を選んでくれるんです。

安田

AIが自分にとってのベストプランを選択してくれると。

久野

そういう時代に来ているので。人間の役割は変わるんじゃないですか。

安田

人が営業すると今回みたいな事件も起こすし。人件費もかかるし。もう人間は要らないんじゃないですか。

久野

何かあった時のフォローを考えると僕は誰かにいて欲しいですね。社長って死んだ後の処理が大変なので。会社と遺族の間に立つ人が必要なんですよ。

安田

なるほど。

久野

いざという時にどれくらい責任を持ってやってくれるか。ここが人間の価値になってくる。

安田

死んでみないと分かりませんけどね。本当に頼りになるかどうかって。

久野

そこを見極めないといけないです。「こいつじゃないな」と思ったら商品が良くても入っちゃダメ。商品だけを選ぶならAIで十分ですよ。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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