赤い出口、青い出口 第18回「ティンガティンガ」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第18回 ティンガティンガ

【ティンガティンガとの出会い】

タンザニアにティンガティンガという現代絵画があります。
動物や自然、人々の日々の暮らしを6色のペンキで色彩豊かに描く現代アートです。
20年ほど前初めて見たとき、しまうま、キリン、バッファロー、象など様々な動物がイキイキと描かれているのを見て、アフリカへのあこがれが心のどこかに湧いてきたのを覚えています。

ティンガティンガさんが始めた、そのアートは北欧にわたり、今や世界に広がっています。
そして、世界の東の端っこの、絵心など全くない私のもとまでこの情報はやってきました。

【ティンガティンガは元気の源】

時はたち、私は仕事を通じて、何度もアフリカに行く機会に恵まれました。
サファリにも行き、ティンガティンガの絵を集めているホテルにも泊まりました。
そして、ティンガティンガの絵があらわす動物たちや、日常の生活を実際に目にすることが幾度もありました。

あの色の鮮やかさは、アフリカの空気のきれいなこと、彼らの視力の良さから見えるとこのように映るものなのだな。
あの絵から受ける楽しさは、動物たちや人々へのへの尊敬や感謝がないと、表現できないのだろうな。
あの絵からあふれるパワーは、地平線が広がるアフリカの大地から得たパワーが秘められているのだな。
と、答え合わせするかのように、さらに好きになって、原画を購入して日本に帰ってきました。そして、私の家で美しく楽しい、力強いアフリカを伝え続けてくれています。

【4年間で作られたもの】

絵を描くことを始めたティンガティンガさんは、40歳で不慮の死を遂げるまで、たった4年しか絵をかいていません。
この4年間に絵をかきながら、絵を売りながら、親せきに絵を教えながら、アフリカ現代アートの代表といわれる基盤をつくってきたそうです。
ティンガティンガさんは、私たちのような教育を受けたこともなく、絵の描き方や販売方法を実践の中で親せきや弟子に教えて回ったとのこと。
今となっては、タンザニアのダルエスサラーム近郊に“ティンガティンガ村”があり、そこにはたくさんのアーティストたちがお互いに協力しながら、絵をかいて生活しています。

【世の中に必要とされるとは】

インターネットのまだないときに、アフリカのタンザニアという地から、ティンガティンガさんは、短期間で組織を作り、販売の仕組みを作り、教育のシステムを整備していたのですね。
今もなお、それが受け継がれていることは、本当に驚きです。
環境の違いや資本主義的な豊かさの違いなどあれど、人が豊かさを感じ、社会に必要とされれば、人が集まり続いていくのが、ティンガティンガを通して感じることができます。
私たちの組織もマーケティングも、仕事の喜びや、それを受ける側の喜びを感じながら、時代を超えて発展していきたいなと、ティンガティンガを見ながら思うのです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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