第141回 失敗を「次の一歩」に変える方法

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第141回 失敗を「次の一歩」に変える方法

安田

今日は失敗との向き合い方についてお聞きしたいなと。メルマガにもエジソンの話を書かれていましたよね。「自分は失敗したことがない、1万通りのうまくいかないやり方を発見しただけだ」と言っていたと。


藤原

ああ、そうですね。ただ、何も工夫せずにやり続けることには意味がないとも思っていまして。

安田

そうですよね。どうやって失敗と付き合っていけばいいんでしょう。


藤原

難しいですよね。何かしら希望の光が見えていれば、失敗も次につながる一歩だと思える。でも「石の上にも三年」という言葉の本質を理解しようとせずに、盲目的に同じ事を繰り返しているだけでは、効果のある失敗とは言えないでしょうね。

安田

確かに。エジソンの「1万通りの発見」というのは、裏を返せば同じ失敗を一度も繰り返していないということですよね。1万回やっても同じ失敗なら1通りしか発見していないわけで。


藤原

まさに仰る通りで。つまり、やる前に「こうすればうまくいくんじゃないか」という仮説を立てて、結果を見て検証し、そして改善するというプロセスが 大事なんです。それが「失敗との正しい向き合い方」じゃないかと思っています。

安田

なるほど。ただ経営者の場合、諦めずに続けるだけじゃなく撤退の判断も必要ですよね。せっかく投資したんだからもったいないと、そのまま突き進んだら会社が潰れかねないし。


藤原

優れた経営者ほど損切りがうまいとも言われます。私は事業を見るときに「儲かるか、勝てるか、やりたいか」の三つが揃っているかを基準にしていて、どれかが欠けたら見直すタイミングかもしれないと考えます。

安田

そういう明確な基準があるわけですね。実際、ユニクロの柳井さんも野菜事業では早めに撤退されていますよね。アパレルがうまくいかなければ別の方向に切り替えていたかもしれないし、ソフトバンクの孫さんもそうかもしれない。


藤原

ええ。「すごくやりたいけど明らかに儲からない」とか、「儲かるし勝てるけどやりたくない」とか。そういう判断も広い意味での損切りで、自社として何を大切にするかを突き詰めた結果の決断とも言えますよね。

安田

ただですね、私は損切りという言葉にちょっと違和感がありまして。「俺は損切りがうまい」と言う人に何人か会いましたけど、粘りが足りないだけに見えることもあるんです。


藤原

確かに売上や利益率といった数字だけで判断して「はい撤退」というのは、ちょっと違う気がします。そもそも誰がやっても儲かる事業なんてない気がしますし。

安田

そうなんですよ。世の中でうまくいっている会社って、皆が撤退した後にしつこく続けて結果的に一人勝ちしているケースも多い。藤原さんの本業もそういうところがあるかもしれませんけど。


藤原

確かにあるかもしれませんね(笑)。

安田

結局、儲からないものをいかに儲かるように工夫して変えていくか。ここを乗り切った人が利益の出る事業を手にしている。すぐに「うまくいかないから撤退」と判断する人は、そもそも事業家に向いていない気さえして。


藤原

粘りは本当に重要だと思います。ただフリーランスの方なんかは、自分一人が食べていけるだけの売上があると「まだやれている」と思えてしまう。本当は浮上の見込みがないのに、食えているから粘り続けてしまうケースもあるんですよね。

安田

食えちゃうから撤退の判断が鈍るわけですね。


藤原

ええ。粘ること自体はいいんですけど、その先に希望があるかを見極めるセンスは別に必要だと思います。

安田

うーん、ただ私はどちらかというと、粘った方がいい派なんですよ。うまくいかないからすぐ辞めるのは誰でもできる。よく語られる石油掘りの話でも、もう少し掘れば出たのに破産しそうになって手放したなんてケースがあるじゃないですか。

藤原

諦めるべきだったのか、でもキリがないし。本当に難しいですよね。

安田

多くの人が撤退した後にもうちょっと掘ってみることが大事な気がします。いつまでも同じように掘ってもダメだけど、掘り方を工夫しながら続ける。

藤原

同じ掘り方でダメだったとき、「じゃあこっちから掘ってみよう」と思えるかどうかですよね。次の一手に希望が持てるなら粘る価値がある。

安田

その希望はデータというよりは自分の心の中にあるもので。本当にやりたいことなら粘れるけど、「儲かるんじゃないか」がやりたい理由だとうまくいかないことが多い気がしますね。

藤原

ああ、それはそうかもしれません。社長は事業の未来を信じていても、スタッフが信じ切れていないケースもありますし。

安田

確かにそうですよね。そういう状態で社長だけが粘ってもなかなかうまくいかない。

藤原

ええ、まさに仰るとおりで。スタッフにも粘りがなければ、現場では掘るふりだけして実際には誰も真剣に掘っていなくて、そこに無駄なコストだけが流れ続けるとういうことはよくある話です。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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