人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第6回 社員の給与はどう決めるべき?

ああ、まさにそのあたりを聞きたくて。というのも、最近は仕組みどころか全員の給与額までをオープンにする会社が出てきているらしくて。つまり、同僚や先輩の月給やボーナスが丸わかりと言うわけです。そこまでやっていいものですかね?

それはなぜなんです? 従業員満足の専門家としてのご意見をぜひ伺いたいなと。

端的に言えば、「従業員の感情面を考慮して」ということですね。基本的に従業員って、みんな「自分が一番頑張っている」と思っているものなんです(笑)。だから同じ仕事をしている人が自分より給与が高かったら、ちゃんとショックを受ける(笑)。

そうですね。先ほども言ったように、「給与を全オープンにしている会社」だと社員が予め知っていて、それに納得しているなら問題はないと思います。むしろ従業員満足度は高まるかもしれない。ただ、例えば入社後に制度が変わった場合、それが原因で人間関係が悪化することが考えられます。そうなれば、あらゆる面に悪影響が出てくる。

ええ。もしかしたら「評価基準が明確で、それが周知されているならいいのでは?」と言う人もいるかもしれませんが、中には「数字だけで評価されること」自体を嫌がる人もいる。もちろん同じ意味で「数字だけで評価してもらったほうがいい」という人もいるわけですけれど。

つまり、経営者の性格によっては、数値よりも感情優先の評価をする場合があるってことです。つまり、「数値で見れば明らかにAさんの方が高評価なんだけど、ムードメーカーで社内を明るくしてくれるBさんの方に高い給与を渡したくなる」みたいなことがあるじゃないですか。

ああ〜、ありますね(笑)。私自身にも覚えがあります。とはいえ、社員から見たらそんなの納得いかないですよね。「なんで社長の好みで給与を決められなきゃいけないんだ!」って。それでいうと最近思いついたアイデアがあるんですけど。

そうですよね。実際、もしいま政治家が「国の維持のために保険料を倍にします!」と言ったら、絶対大炎上ですよ(笑)。でも「すごい知能を持ったAIが出した結論です。そうしなければ何年後に国が滅びるそうです」と言われたら、受け取り方は変わってくる。

確かに(笑)。将棋なんかの例を出すまでもなく、既にAIは人間を凌駕する存在になっているわけですもんね。ただ、かといってAIにすべてを委ねて、それで豊かな社会になるかと言われると、私はかなり懐疑的です。

計算なんかをやらせたら、そりゃ人間はAIに敵わない。でも、感覚とか感情という面では、やっぱり人間の方がまだまだレベルが高いと思う。たとえばAIが「計算した結果、博物館や美術館は不要という結果が出ました」と言い出しても、すんなり賛同できますか?

ええ。そして人間が関わる以上、仕事の中にもそういう「数値では表せない価値」が絶対に存在する。私はそう考えているので、従業員の評価を完全にAIに任せたり、あるいは給与額をオープンにすることに、全面的には賛成できないんです。

それもよい考えだと思います。上手にやれば従業員満足度も上がりそうですし。いずれにせよ社内制度を作ったり変えたりする時は、従業員満足度を指標に置いてもらいたいですね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。