【vol.224】2022年「小売業界」のトレンドの話(襲いかかる混乱)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き「小売業界」の2022年のトレンドの話を見ていきます。
Retail EconomicsというUKの小売業界専門情報有料サイトの無料記事から紹介していきます。

今週の記事はコレ

5 Key Retail Trends in 2022
2022年の小売業界5の主要な5つのトレンド
https://www.retaileconomics.co.uk/retail-insights-trends/five-key-retail-trends-in-2022

全体のサマリーインタビューが動画になっているので、一応載せておきます。

記事本文では、下記の5つのトレンドが取り上げられています。

Trend 1: Digital Dependency
Trend 2: Rebalancing Physical Retail
Trend 3: Supply chain disruption
Trend 4: Path to Net Zero
Trend 5: Protecting Profitability

先週の「Trend 2: Rebalancing Physical Retail」に引き続き、Trend3をご紹介します。

Trend 3: Supply chain disruption
(サプライチェーンの混乱)

Combined factors such as COVID-19 outbreaks, port closures, port congestion, labour shortages and a lack of containers caused considerable disruption resulting in rapidly escalating costs. The cost of shipping a container across most major shipping routes rose by more than nine times in 2021 compared with the previous year.

COVID-19の拡散、港の閉鎖や混雑、労働力不足、コンテナ不足などの複合的な要因によって、大きなdisruption(混乱)が生じて、コストが急上昇した。
ほとんどの主要な輸送ルートにおいて、コンテナ輸送のコストは、前年に比べて9倍以上増加した。

全体の論点としては、そもそもはコロナによってサプライチェーンがダメージを受けた後、経済の正常化と共にサプライチェーンも正常化するかと思われたところ、実際は正常化するどころか「disruption(混乱)」に陥っている、という話です。
9倍以上の輸送コストってすごいですね。。

2021年夏に「disruption(混乱)」のピークを迎えているものの、その後もピークアウトせずに「disruption(混乱)の高止まりが起きている」というグラフも紹介されてました(割愛します)

その結果、下記のようなことが起きています。

Inevitably, consumers faced challenges accessing products. Our research suggests that close to one in five (28%) consumers have experienced issues with product availability in 2021, with 9% saying that it had been a significant issue.

必然的に、消費者は製品を手にすることの困難さに直面した。
調査によると、2021年に消費者の5人に1人(28%)が製品の入手に対して問題を経験していて、9%がsignificant issue(重大な問題)であったと回答している。

思い返せば同様のことが日本でも起きてましたね。。

2020年はパンデミックによる混乱(disruption)
2021年は経済回復についていけないサプライチェーンの混乱(disruption)
2022年はインフレおよび利上げによる混乱(disruption)

disruptionが連続して襲いかかってきて「正常化」する気配はありません。これだけdisruptionが続くということは「disruption(混乱)がnew normal(ニューノーマル)である」ということを意味するのかもしれません。
世界の基本的な状態は「disruption状態」であると腹決めした方が良いみたいです。
もう以前のold normalは戻ってこないかもですね。

 

著者の他の記事を見る


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
著者ページへ

感想・著者への質問はこちらから