第133回 経営者のセンス

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/経営者のセンス

2日間からなる某大手さんでの「部長研修」では、初日夜に社長との「対話懇親会」なるものが設けられています。

事前に「社長への提言」を検討したうえで、対話に臨む流れになっていますが、

10名の部長とK社長。
そこに、高松が同席させていただいた場では、

「安全強化、DX推進、協力会社との連携強化、RPA導入による業務改善、働き方改革による離職防止」などなど、多くの「提言・改善案」が上がり、とても盛り上がった時間でした。

なかでも、K社長のお言葉が印象に残っています。

K社長:

「センスのある経営者は、『話が面白いし、話を聞くのも上手い。何より人物が明るいんですよ』僕も、そんな人間になりたいと、いつも思っています。みなさんも目指してくれたらうれしいです」

某部長:

「話が面白いとは、ユニークさや知見の豊富さ、とかですかね?」

K社長:

「もちろん、そのような要素はあった方が良い」

「でも、何より大事なのは、相手の話を面白がって聞いたり、自分の話を楽しそうに伝えたり、そんな振る舞いをしている人って、素敵じゃないですか。ねえ」

「加えて、『人物が明るい』っていうのは、いつも元気でハキハキ!というのではなく、『商売や部下や同僚への反応が明るい人』のことですよ」

『もしかして、こう変えれば儲かるな!』『ひょっとすると、あなたのアイデア、すごいことになるかもね!』みたいに、人や人の考え、そして、自分の思いつきに対しても、面白がって、楽しめる。そんな人が『センスのある経営者、人物』だな、って僕は思うんですよ」

部長陣:

「なるほど。魅力的な人ですね」

対話懇親会の終盤に気づいたのですが。

その場が大いに盛り上がっているのは、幾人もの部長たちの話を、「そんなことになったら凄いよな!」「楽しみだな!」と、コロコロとした笑顔で面白がっていたK社長の振る舞いこそが、「経営者のセンス」を次へと紡いでいく行動なのでしょうね。

センスある人物を目指したいものです!

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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