第78回「MaBeee」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第78回  「MaBeee」

年末は、2年ぶりに妻の実家に帰省することが出来そうです。コロナで帰省できない間、二人で暮らす義理の両親が心配で、見守りデバイスについて調べました。
たとえば、ドアの開閉を検知するセンサ内蔵の冷蔵庫。遠くに住む親族にドア開閉の有無を通知することで安否を知らせる機能を備えています。同様の仕組みで、給湯するたびに安否を通知する湯沸かしポットもありました。
親はいつも通りの生活をするだけで、子供が安否を確認できる優れた仕組みだなと感心したものですが、もっと感心させられる商品がありました。それは、電池型の見守り装置、「MaBeee」です。


特開2020-064756号(出願人:ノバルス株式会社)
【発明の名称】電池形電源装置

商標登録第5832485号(商標権者:同上)
【商標】

【指定商品/指定役務】
制御器、アプリケーションソフトウェア など


MaBeeeは、単三電池型のIOTデバイスで、自宅の家電に使われている単三電池と入れ替えるだけで、その家電を見守りデバイスに変身させます。たとえば、テレビのリモコンなどにMaBeeeを使えば、リモコンが見守りデバイスに早変わりし、テレビのON/OFFが親族に通知される仕組みです。

電池式で動いている家電であれば、なんでも見守りデバイスにできる。つまり、見守りデバイスを買う必要すらないのです。いや~すごいところに目をつける会社があるものですね。

未来コンパスが指すミライ

MaBeeeは、単三電池と同一サイズの円筒状デバイスで、中に一回り小さい単四電池を収納します。単四電池が入ることで家電を作動させる電池として機能するとともに、ON/OFFを通知する「発信器」としても機能しています。
発信器ということは、データを発信するビーコンやセンサを代替できる可能性があることを意味し、潜在マーケットはかなり広そうです。
たとえば、LINEビーコンというサービスをご存じでしょうか。コンビニやドラッグストアなどの店舗に設置したビーコン(信号発信器)に消費者が近づくと、そのスマホにクーポンが表示されるというものです。このサービスは、スマホのBluetoothとLINEビーコンがクーポン情報の送受信を行っていることで成立しています。
LINEビーコンは専用の発信器を使っていますが、システム連携さえ出来れば、技術的にはMaBeeeで対応可能でしょう。専用器の費用や設置スペース、取り付けまでの納期といった制約を一切気にせず、店にある時計の電池を交換するだけで、クーポン配信サービスを試すことが可能になります。

データを使った販促は、今後ますます多くのビジネスで行われるようになるでしょう。それに使う発信器を早く、手間なく入手できるとなると、MaBeeeが普及しない理由はあるでしょうか。いずれ、データ社会のインフラのような役目を担うかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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