第148回 異業種に学ぶターゲットの行動特性

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第148回 異業種に学ぶターゲットの行動特性

安田

以前Xで、自分のお店以外のところでビジネスのヒントを見つけるというお話をされていましたよね。ターゲットに近い属性のお客さんがいるお店に行って、そこで観察すると。


倉橋

ああ、そうですね。しょっちゅう行ってます。昨日もドン・キホーテさんの札幌の店舗に行ってきましたよ。

安田

へぇ。ちなみにどんなところを観察するんですか?


倉橋

どんな品揃えなのか、ワンフロアを1時間ぐらいかけて見たりします。ドン・キホーテさんはターゲットが完全にインバウンドでしたね。

安田

なるほど。品揃えは勿論、インバウンドの方が実際にどういうものを手に取っているのかとか、そういうところも見ているんでしょうね。


倉橋

仰る通りです。中華系の方だけでなく、東南アジアや北米の方もいて、その人たちが求める日本の商材ってこういうものなんだな、とよくわかりました。ターゲットごとにちゃんと品揃えを変えているのが面白いんですよ。

安田

なるほどなぁ。でも万代さんはインバウンドをターゲットにしていませんよね。ファミリー層がメインなのに、あえてターゲットが違うドン・キホーテさんに行くのはなぜなんでしょう。


倉橋

ターゲットに合わせて商材をどう揃えるか、プロはどうやっているのかという視点で見ているんです。ポップの書き方とか、品揃えの組み方とか。いわゆる繁盛店視察ですね。

安田

そうかそうか。ドン・キホーテさんのやり方をそのまま使うわけではなく、「うちのターゲットならこうアレンジしよう」と考えながら観察しているわけですね。逆に、ターゲットがドンピシャなお店だとどんなところがあるんでしょう?


倉橋

意外かもしれませんが、回転寿司のお店ですね。同じようにファミリー層が来店されるので、子どものメニューがどのぐらいチョイスされているか、どんなメニューが開発されているかをじっくり見ます。あとはスーパー銭湯とかもそうです。どちらも家族が車でアクセスしてエンタメとして楽しむ場所でしょう?

安田

ああ、確かに。車で来て、家族で楽しんで、使う金額も似ているという共通項がありますね。予算もだいたい4人家族で1万円ぐらいで。


倉橋

そうですね。ご家族が休日の過ごし方を3つか4つぐらい考えている中で、万代もその選択肢にエントリーできるといいなと。そのためにはファミリー全員に満足してもらうことがリピートの大原則なので、同じ行動特性を持つお客様がいるお店をとにかく研究しているんです。

安田

ははぁ。一見するとゲームセンターとかボウリング場とか、同じアミューズメント業態の方が気になりそうに思うんですけど、実は回転寿司やスーパー銭湯の方が参考になるというのは面白いですね。

倉橋

同業者よりも、ターゲットの行動特性が近いお店の方が学びは多いんです。イオンモールにも行きますよ。あそこも家族で足を運ぶ場所ですから。いずれにせよ、自分の店だけ見ていたら、お客様が他のお店でどんな反応をしているかはわからないんです。

安田

確かになぁ。ちなみに観察するときに、お客さんの車や服装、つけているキーホルダーやスマホケースまで見ているとも書かれてましたけど、本当なんでしょうか。

倉橋

ええ。そのくらい細かく観察しています。とはいえ僕1人で行ったらさすがに怪しいので、マーケティングチームで行くようにしていますが(笑)。3、4人で行くんですけど、女性も混じっているのでそこまで不自然にはならないかなと。

安田

確かに、おじさんが1人でキーホルダーやスマホケースをジロジロ見ていたら完全に怪しいですもんね(笑)。プライベートで行ったときにもそんな風に観察することもあるんですか?

倉橋

プライベートでも見る癖はついてますね。ただマーケティングチームで行くときの方がビジネスの視点が持ちやすいので、調査はチームでやるようにしています。

安田

回転寿司にマーケティングチームで行くのもなかなかシュールですけどね(笑)。ちなみにそういう調査って、覆面調査みたいにバレないようにやるものなんですか。業界の暗黙のルールみたいなものがあって、バレたら怒られるんじゃないかと思ってしまいますけど。

倉橋

いち消費者としてちゃんとお寿司も食べますし、買い物もしますから。逆に万代にも他社のマーケティングチームが来ている可能性はありますけど、それはもうお互い様ですよね。

安田

なるほどなるほど。同業他社ではなく、同じターゲットの行動特性を持つ異業種から学ぶ。言われてみれば当たり前のことかもしれませんけど、それをここまで徹底してやっているのはさすがですね。

倉橋

大手の回転寿司チェーンのメニュー開発とか見ると、いつもびっくりしますよ。チャイルドマーケティングにこれだけ力を入れているのかと。だから定期的に行かないと取り残されてしまう。お客様の行動特性は常に変化していますからね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから