第22回 「変わる」ことの大切さ

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第22回 「変わる」ことの大切さ

安田

万代さんも今までいろいろな変化をしながら事業を継続されてきたと思います。Xでも仰っていたように、例えば存続が危ぶまれているレンタルビデオ店やそろばん教室なども、変化できれば生き残れると思いますか?


倉橋

ええ。できると思います。ただ実際に変化できるかというと、なかなか難しいんじゃないかな。過去に成功していればいるほど、そこの抵抗力が高まってしまうんです。

安田

ああ、なるほど。過去の成功体験から逃れられないと。そんな中、万代さんが変化し続けられるのはなぜなのでしょう。


倉橋
ビジネスを続けていると、なんとなく「お客さんが離れていっているな」と感じる時があって。それを見逃さず、「うちのビジネスは時代遅れになってきているのかもしれない」と思えるかどうかが重要で。
安田

ああ、なるほど。その違和感のようなものをスルーせず、事業を改善していくことが重要だと。


倉橋
そういうことです。まぁ、口で言うほど簡単なことではないんですけどね。事業を改善するって、ある意味では過去の自分を否定することでもあるので。
安田
確かに。あるいは、自覚がないまま過去の成功体験にしがみついていることも多い気がしますね。業界の常識を通してしか物事を見れなくなっていて、変化したいけどどうしていいかわからなくなっていたり。

倉橋
すごくよくわかります。そういう意味ではまず、経営者自身が「正直に考える」ことが大事なんですよ。例えば私たちリユースの業界にとって、メルカリの登場はまるで黒船来航のような衝撃でした。でも、正直に言えば以前から薄々感じていたんです。いつかはこういうサービスが出てくるだろうと。
安田

ほう、なるほど。確かに当時から「Yahoo!オークション」などのオークションサイトはありましたからね。


倉橋

そうなんです。メルカリって要するに、「今まであったオークションサイトに手を加えてスマホアプリ化したサービス」なわけです。世の中にスマホが浸透していく中、遅かれ早かれそういうものが出てくるだろうことはわかっていました。でも気づかないふりをしてしまっていた。

安田
なるほど。つまり倉橋さんは「正直」に考えられていなかったと。

倉橋

そういうことです。わかっていたのにわからないふりをしていた。怠慢だったなとすごく反省しましたね。今は小さな違和感もスルーしないよう気をつけています。

安田

確かに、自分たちのいる場所がこの先も平穏だとは限りませんもんね。


倉橋
仰るとおりです。僕たちのような店舗ビジネスで言うと、商店街からロードサイド、ロードサイドからインターネットとお客さんのニーズが変わってきました。そういう動きにほとんどの経営者は気づいているはずなんです。でもなかなか変化できない。心ではわかっているのに、動けないんです。
安田
そこで心の声に従って動ける経営者が勝つと。とはいえ、変化させれば何でもいいというわけじゃないと思うんです。何に気をつけてどんな改善を行えばいいのか、何かしら指針のようなものはありますか?

倉橋

そうですね、それで言うと改善の内容やタイミング以前に重要だと思っていることがあって。それが「社長が決める」ということ。

安田

ほう、それはなぜですか?


倉橋
いろいろな理由がありますが、まずは「経営者自らが率先して動く覚悟を持たなければならない」ということです。社員やお客さんに期待している場合じゃない。自分で決めて、自分で動くんです。もう一つはスピード感ですよね。経営者なら自分の判断で今すぐにでも変化を作れる。
安田

なるほど。日々進化し続ける万代の経営者がいうと説得力あります。ところで、そういう決断をする時に、「変化させる部分」と「変化させない部分」のジャッジもあると思うんです。倉橋さんはそこが明確な気がするんですけど、どうやって決めているんですか?


倉橋
うーん、それはなかなか説明が難しいかもしれません。強いて言うなら経験値からの判断でしょうか。リユース事業を20年以上やってきて、それなりに知識やノウハウが溜まっているので。
安田
なるほど。つまり自分の得意分野で考えるということですね。変化しなければならないからといって、いきなりラーメン屋や生命保険会社に鞍替えしたりはしない(笑)。

倉橋
そういうことです。まぁ、万代の店舗にラーメン屋を併設することはあり得るかもしれませんけど(笑)。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に17店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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