この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『虹を率いて』|フランチャイズ展開に踏み切った経営者Oさんの場合
「門間フィルターに価値がある。
言ったことに対して
門間さんの返してくれる言葉、表現してくれる絵、が返ってくるのが、
すごい価値がある。
『これ描いて』『はいはい~』
って描いてもらうのとは全く違う。門間さんだから頼んでる」
2枚目、龍の絵を依頼したOさんが言いました。
「自分と対話できるように、
門間さんが手助けしているんだ、と感じるんです。
大人になると、年を取れば取るほど、
叱ってくれる人がいなくなります。
うちみたいな小さな会社でも、
地位があがると本当にいなくなる。」
先代の社長の急死を受けて4代目社長になったOさん。実感がこもっています。
「仕事の方向性が、本当に合っているのか。自分の考えていることは、人としても間違いないのか。
自分かわいさに、都合よく考えていないか。
一歩引いた視点で自分を見つめるのが大事だとつくづく感じているのですが‥‥、
果たして客觀視できているかが、なかなかわからない。無闇に大事なことを相談できないし、そもそもそういう深い話ができる人がいないからです。でも、門間さんには、話せると思いました」
「最初にご紹介頂いた時も、『門間さんは深い』と言っていましたね」と笑うと、
「笑い事じゃありません」言いながらもOさんは釣られて笑いました。「深すぎてわかんない人いると思いますよ」
「資本主義社会なので、どうしても儲かることに光があたります。そして、日々売り上げを考えていると、どうしてもお金にかたよってきます。
極端な人だと、儲かればいい、一時的でもがっぽり儲かれば、あとは遊んで暮らしたいな、という考えもあるものです。実際は、それだけだと身を持ち崩します。人としても育っていかなければならない。でも、人として育っていなくてもお金の力で社会を渡ることもできるので、なかなかわかんないんですよね。
その反面、門間さんには、美術で培ってきた哲学が感じられます。安心して話せるし、人としてハッとさせられる気づきがあるのです」
「そうですね。確かに人に興味があります。
普通の画家は人よりも美術に興味があるので、あまり話が合わないくらいです、笑。
人の成長に関わる作品ってなんだろうと、いつも考えています。すると、自然に人そのものに焦点があたるのです。
その人‥‥、経営でもなんでも、人は自分に合わないことは成長しません。どんなに儲かるやり方でも、合わなかったら一時はよくても長続きしなかったり、心身を壊したりします。幸せを感じるのが難しくなってしまうんですよね。
だから、その人の本来性、先を見据えた絵を描くことを大切にしています。
Oさんだったら、自分が輝くのでなくて、みんなが輝けばいい、と、本音で持っている。
今は、メディアにでる必要性があるから、外に出ているけれど、本来は違う。
それを、じっくりとお話しをして感じます。本来性は、ちょっときいたくらいではわからないのです。それは、行間に宿るものだから。自分でも言葉にできないくらい無意識の部分にあるものだからです。表面の行動一つひとつの基準になるものは、簡単に言葉では表せない深さにあるものです。
それを、一つ一つのエピソードを丁寧に聞くことから感じます。
Oさんから、社員はそれぞれの個性を大切にしてほしいとか、自分の生まれ育った下町の人情を反映させたい、会社は大きくならなくていい、などの様々なお話を聞いていると、ああ、東洋思想がベースにあるんだな、とわかります。和を大切にする分解です。
資本主義は、西洋から入ってきましたし、会社の運営はその仕組みでできていますが、東洋思想がベースでも良いのです。いや、下町で育ち、ご先祖さまを大事にする、多神教の日本人ならば、ある意味それが当たり前かもしれません。
だから、Oさんの龍は、あまり奥行きのない東洋的な絵の描き方に変換しました。
東洋的な絵にあまり奥行きがないのには理由があります。
いろんなところからみて表現するからです。絵巻物などで、この多視点の表現がよくわかります。
現代は、世界的基準のグローバルスタンダード=アメリカンスタンダードと言われるように、西洋思想が優勢ですが、東洋的な立ち位置、東洋思想は、何千年もの歴史の風雪を耐え抜いて残っている、一つのスタンダードです。
そういう揺らぎないスタンダードを絵に表現して、自分のフィードバック、行動の原動力を後押しする、確認する。
そのために、オーダー絵画があると思っています」
すると、Oさんがまた笑いました。
「ほら、門間さん!深すぎです、笑。
それをオーダー絵画ってくくっていいんですか?
人の根本の思想までみて絵にするって‥‥、コーチングまで入っている。いやいや、それ以上でしょ」
確かに、細かい施策ではなく、一生変わらない部分を毎日見てもらいたい、と思って描いています。そこが一番大事。そこがぶれたら事業がブレてしまう。
表面がいくら変わっても、その人が変わらないところ、を描きたいといつも考えています。
実際、Oさんは今、フランチャイズ展開をしていますが、龍を描いたのは数年前。まだブランドを固めているころでした。
直営店はすくなくていい、フランチャイズ店がそれぞれでやっていける仕組みをつくりたい、という考えは、多視点を許容する東洋思想が経営の形になったものといえます。
「自分のもともとの価値観を炙り出してもらって、形にしてもらって、
毎日見て、潜在意識に落とし込む。
毎日染み込ませるというのは、すごいこと。しかも、ストレスなく。
だって、見るだけですから。負担がないです」
完成した龍の絵を前にして、Oさんはにっこり笑いました。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。