この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『流域(1997)|自分の可能性を開花させるのにおろそかになりやすいこと』
「すべての個人には可能性がある、それを個性に応じて発揮していけばいい(ガンジー)」
美大1年の時に、未来が見えなかった自分に光を与えてくれた言葉です。
そうか、誰でも可能性はあるのだ。そして、それは自分の個性に沿って花開くものなのだ、と、行き詰まりを感じていた自分に元気を与えてくれました。そして、今は自分の人生の指針であり、特殊なオーダー絵画【対話できる絵画】を創る中でその方だけのテーマやイメージを引き出されていくのを経験し続けたことにより信念にもなっています。
美大にいった動機は絵を描くのが好きだから。高校3年の時からアルバイトをして画材費等を稼ぐ一方、大学に入って何をするのか考えていない、のんきな学生でした。当時は私のように漠然と大学に入ってから「自分の絵の道」を悩む人たちとよく相談したので、時代ものんびりしていたのかもしれません。
大学に入ってみると、【美大にいく】目標を達成したあとに、数えきれない道が広がっていました。コンクールの入賞を目指すのか?海外留学か?画廊の取り扱い作家か?美術の先生か?などなど・・・
無数の道から選びとるポイントは、自分の個性であり、
【個性とは、持って生まれた資質だけでなく、自分自身の生まれてからの家庭環境、国籍、性別、時代などの背景も含めて考える】のが大切。
それを、「可能性は個性に応じて発揮」という言葉が教えてくれました。似たような資質を持っていても、裕福な家庭と苦学の家庭では選択肢が変わります。同じ日本でも江戸時代と現代では選択肢が異なります。同じ環境、時代でも、男女の違いで差が生まれます。どんな人とつながりがあるかでもかわります。
この視点は、若者が自分の道を考えるのにも、経験を積んだ経営者が自分の道を選びとるのにも役立ちます。例えば、クライミング道具の製造販売からスタートして今、時代をリードするパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード。
「一般的なビジネス慣習にしたがっていては、決して自分は幸せに慣れないこともわかっていた。機関誌の広告に登場する青白い顔をしたスーツ姿の屍(しかばね)からできるだけ遠くに身を置きたいと思った。企業家にならざるおえないなら、自分なりの方法でなろう」と決意。
「社員をサーフィンに行かせよう」という精神を掲げて(社員は本当に午前だろうが午後だろうが行って構わない)フレックスタイムやジョブシェアリングの考え方を具現化していると著書に書いています。
最初に書いた「すべての個人には可能性がある、それを個性に応じて発揮していけばいい」は、インドの独立の父ガンジーの自叙伝で出会った言葉で、シュイナードより100年前ですが、ガンジーはその精神を紀元前からあるヒンドゥー教から学んでいるので、「自分の個性に合った道を選ぶ」ことは時代を超えた在り方といえます。
しかし、これがなかなか難しい。疎かになってしまう。ついつい、なんとなく周りに従ってしまう。誰か成功していたら、それを真似ればいいのではと思ってしまう。でも、自分と周りは違います。誰一人として同じ人はいないのですから、良さそうな話を単純に真似ていたらバラバラでごちゃごちゃになり、自分の可能性を発揮することは難しくなります。何を真似るのか?も、自分の【個性】から吟味して決める必要があるのです。
でも、そんな簡単に【個性】はわからない。
シュイナードは、最初自分を企業家と思いたくないと躊躇していたのを、「自分なりの方法で企業家になろう」と決意するまで何年もかかっています。
ガンジーは、自分に合ったあり方を見つけるまで落ちこぼれ弁護士でした(その後、弁護士として成功、のちに政治家に転身します)
あきらめず、コツコツ考えながら【個性】を見出していく必要があります。しかし逆に言えば、あきらめなかった人は自分の【個性】に出会うことができます。
私は不器用なので、学校の講師、アルバイト、会社員などをしながら絵を描き続けて何十年も過ごしてきて、画家を専業とする今があります。絵を描きながら画廊を通さずお客様とやりとりし、学会にも所属している現在を見て「門間さんは器用だ」と言われることがありますが、最も身近な人たちは私の不器用さをよく知っています。
特殊なオーダー絵画【対話できる絵画】を依頼されるようになってから、相談を受けることが増えました。私は<生きる人のための芸術>であることを大事に描いているので、打ち明けていただくのだと思いますが、「自分の可能性を発揮するためにどの道を選べばいいか?」という相談もあります。また、現代アートに共通の判断基準がない中、自分なりの方法で作品づくりをしてきたことで「自分の軸をつくりたいので、門間さんがどういうふうに考えてきたのか知りたい」と聞かれたりします。
私は目の前のクライアントに応えることから【個性】を見つけてきました。オーダー絵画というと最初に描いてもらいたいものを依頼してあとは画家に任せて完成まで待つ、のが一般的だと思いますが、「アイデアスケッチを見たい」という声からスケッチを共有しました。「門間さんのスケッチを見ながらお話をしたら、最初に思っていたのと違うことが浮かんだ」という声から、自分が本当にほしい絵を見つけるのに一緒に絵を見て話す方法も取り入れました。今まで周り道だと思っていたアルバイトや講師、会社員といった背景が、他にない【作品の個性】を作り上げてくれました。
誰しもその人だけの道の中に宿るその人だけの【個性】の輝きがる。可能性は引き出されるのを待っている。だから私は、それを引き出すお手伝いをして、オーダー絵画の中に映し出して、毎日見ていただきたいのです。
今回の作品は、私が手探りで自分自身の心を見つめるなかで生まれた絵画。
自分はどこに流れ着いていくのであろうという、怖さと楽しみを表した作品です。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。