また値上がりですか?介護保険。
ステルス値上げでしょうね。
いつから上がったんですか。
2020年3月から上がりました。
介護保険って、自分が要介護になったときのために払うんですよね。
そうです。40歳から介護保険料が徴収されます。
久野さんも払ってるんですか。
40歳を超えたので払い始めました(笑)
それがまた値上がりすると。
じつは毎年上がり続けてます。皆さん知らないですけど。
なんと!
昔は今みたいに「むちゃくちゃ高く」はなかったんです。
だんだん上がってきたってことですか。
そうです。
ステルス値上げで。
毎年少しずつ上がって凄く高くなっちゃった。
大きなニュースにはなってませんけど。
サイレントでやってますから。
これって年収に応じて高くなるんですか。
そうです。厚生年金や健康保険とおなじ。階段で金額が分かれてます。
この先ずっと上がり続けるんですか?介護保険というのは。
上がり続けると思います。財源がないので。
税金だけでは足りないってことですか?
はい。足りてません。
つまり「自分が介護になったときの費用が足りないので、今から払おう」ってことですか。
そうです。たとえば医療介護になると、今は1割負担で介護サービスを受けられる。
介護保険に入ってる人は受けられると。
じつは介護保険って複雑で。40〜65歳の人は第一号というのに該当してまして。
第一号?
第一号の人は、特定の病気に罹患しない限りは介護保険を使えない。
なんと!
65歳以上の人は第二号なんですけど。この人たちは認知症とか、身体的に要介護2とか3になった場合には介護保険が使えるんです。
それは健康保険とは別ですか?
また別の制度です。健康保険と厚生年金以外に介護保険も別途徴収されます。
国民健康保険しか入ってない人は払ってないんですか?
いえ。介護保険は別で徴収されます。
じゃあ国民全員が入ってると。
はい。40歳を超えたら徴収が始まります。でも40歳の人は特定疾患でしか介護保険サービスが受けられない。
特定疾患って、たとえばどんな疾患ですか。
難病と呼ばれるやつですね。筋肉が動かなくなるような。
そういうのじゃないと駄目だと。
あるいは若年性アルツハイマーとかですね。じゃないと使えないです。
ということは、基本的には65歳を過ぎないともらえないってことですね。
そうです。もらえないというか、自己負担1割2割で介護サービスが受けられない。
なるほど。つまり高齢になって要介護になったときに、1割負担で介護が受けられる。そのための財源ってことですね。
そうなんですけど。また難しいのが、日本の制度って基本的には積み立てじゃないので。今払っている分を自分のために使うわけじゃないんですよ。
先輩のために順繰りに払ってると。
はい。だから間違いなく値上がりしていく。
若者は増えないのに要介護の人は増えるから?
そういうことですね。しかも平均余命が延びてますから。
じゃあ、まだまだ上がり続ける。
間違いなく上がり続けるでしょうね。平均寿命が伸びれば伸びるほど高くなる。
なぜ、わざわざ介護保険だけ分けて取るんですか?税金を上げればいいだけじゃないですか。
社会保険は第二の税金と言われてまして。言ったら怒られるんですけど(笑)
第二の税金?
所得税ってだいたい給与の15%なんですよ。社会保険を合わせて給与の30%。
そんな感じですよね。
で、会社も15%負担してる。
はい。これがまた高いんですよ。
たとえば所得税に15%乗せたら「日本はめちゃくちゃ所得税が高い国」ってことになるじゃないですか。
なりますね。
法人税に乗っけたら「めちゃくちゃ法人税が高い国」ってことになる。
なりますね。
だから税金とは区分して、正当性を出していくわけです。
税金はそんなに取ってないよと。
はい。そういう理屈ですね。
実質は税金と同じじゃないですか。強制だし。
だから第二の税金と言われてるんですよ。社会保険税ですね。あんまり言うと怒られちゃうんですけど(笑)
誰に怒られるんですか。でも、それだったら20歳過ぎたら全員に払わせたほうが財源は増えますよ。なぜ40歳以上なんですか?
だって20代からは取りづらいですよね。
年金は取ってるじゃないですか。
年金は65歳になったら全員受け取れますから。でも介護保険って万人が受けるものじゃない。
要介護にならなきゃもらえないと。それは40代でも同じですよね。
40歳ぐらいから「そろそろ病気が起きますよね」っていうイメージがある。
何ですか?それは。
厄年みたいなもんで「40過ぎたらガタっとくる」ってみんな言うじゃないですか。
だから40なんですか?なんかいい加減。特殊な病気じゃなければもらえないし。
もらえないけど、みんな納得しちゃってます。
納得してるんじゃなく知らないんですよ。まさか自分がもらえないとは。
そこはあんまり告知してませんから。
あざといですよね。
頭いい人が考えることはものすごく繊細なんです(笑)
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。