雇用調整助成金ですが、また延長されるんでしょうか?
はい。年内は継続すると言ってます。
去年も年末で終わりと言われてて。
そうでしたね。
「今回は絶対に終わるぞ」って言われてたのに、あっさり延長されて。
延長せざるを得ないんですよ。
助成金が終わったら、整理解雇する会社が出ますよね。
10月から最低賃金を上げるじゃないですか。あれの影響も考えてだと思う。
それがなければ延長はしてなかったってことですか。
そうですね。最優先の課題は最低賃金を上げること。そのための雇調金だと感じます。
私は「終わる終わる詐欺」じゃないかと思ってます。永久に出るんじゃないかと。
そもそも雇調金は常時ある制度なんです。要件が厳しくなったりするだけで。
通常でも70%ぐらいは出るんでしたっけ?
はい。今は9割ぐらい出ます。
中小企業は100%じゃないんですか?
100%支給が残っているのは一部の地域だけですね。原則的には10分の9です。
それもどこかで終わると。
間違いないですね。雇調金自体はずっとあるんですけど、金額が減っていく。
そうなると解雇も増えますよね。
コロナ特例がなくなった瞬間に、条件はかなり厳しくなると思いますので。
どれぐらい厳しくなるんですか。
金額も減るし、休みも計画的に取らなきゃいけなくなる。今までみたいに「明日来ないから助成金申請します」というわけにはいかない。
助成金で延命してた会社がもたなくなるってことですね。それでもコロナ特例は終わると。
さすがに年内で終わらせるんじゃないですか。菅さんは11月にワクチンが行き届くと言ってるので、これに合わせて終える感じ。
菅さんが言ってることって実現したためしがないです。
今の部分はカットでお願いします(笑)
まあオリンピックは実現しましたからね(笑)
あれは菅さん決めたことじゃないですけど。
確かにどこかのタイミングでワクチンは行き届きますよね。永久に行き渡らないってことはないので。
はい。
それに合わせて助成金も終わっていくと。
終わらせないと財源的にきついです。これって正常な状態ではないですから。
ずっと続いたら国がもたないですよね。
絶対無理でしょうね。ただ、こっちを先に切っちゃうとメディアに叩かれるので。政策的にはやっぱりワクチンを打った後に終わらせたい。
それが年末だと。
年末というのがすごく妥当な線だと私は思います。
じゃあ年末には、延命してた企業さんでの整理解雇が始まる?
コロナ融資の返済もそろそろ始まるんです。
据置期間は1年でしたもんね。
コロナワクチンが終わったタイミングで、けっこう厳しい政策を実行してくると思います。
中小企業は生き残れますかね。
そこで残れる企業だけが残るという感じになっていく。
コロナ融資は返ってこなくなりますけど。そこも織り込み済みってことですか。
銀行は織り込んでいるでしょうね。国の補償が付いてるので。
貸し倒れになったとしても、生産性の低い会社は退場してもらうと。
最低賃金の政策にその意思が表れています。そこだけは強気に空気を読まなかったですよね、珍しく。
確かにそうですね。けっこう反発はありましたけど強引でしたね。
はい。
中小企業の社長やコンビニオーナーは困ってますよ。働いてる人は大歓迎なんでしょうか。
働く人は歓迎だと思います。
そうですよね。
だけどメディアが煽るわけです。最低賃金を上げる→企業の人件費がかさむ→厳しい会社から人があぶれ出す→失業者が増える。という論調で。
失業者は増えますか?
私は雇用吸収できると思います。業務効率化されたとはいえ人は不足してるので。
低スキルの人でも?
人手という供給が絶対的に不足してますから。普通に考えれば吸収できる。
ホントですか?例えば久野さんは採用しますか。呼びかけても返事しない人とか。
それは採らないでしょうね(笑)
でしょ。
だけど安田さんのいうような「仕事ができない人」ばかりじゃないです。できる人もいます。
できる人でも給料は安かったと。
はい。だから国が主導して上げようとしてるわけで。
それに耐えられない会社は潰れてもいいと。
そういうことですね。
値上げができない会社は潰れるでしょうね。
だけどできないんです。みんなが一気に値上げするわけじゃないので。
値上げしたところにはお客さんが来なくなる?
はい。そこで淘汰されてしまいます。
みんなが値上げするまで耐えられるかどうかですね。
そこまで持ちこたえるキャッシュがあるかどうか。
特別融資でサポートして乗り越えさせるとか。
難しいでしょうね。最低賃金が30円上がるタイミングで「うちは300円上げるぞ」という会社が出てきますから。一気に周りが振り落とされる。
どうやっても淘汰は起こると。
企業というのは必ず淘汰が進むんです。
国としてもこのタイミングで淘汰したい。
はい。賃金が安いところは淘汰したい。それが本音だと思います。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。