「お前はどこまで馬鹿なんだ」って社長が言っちゃった。それを社員が録音してたみたいで大問題になってます。社長は「業務上の正当なアドバイスだ」と言ってるみたいです。
完全にアウトですね。それは。
弁護士の向井蘭さん曰く、社長が机を叩いて大きな音を出した時点で、もうパワハラ認定されてもしょうがないと。
机を叩くなんて、ちょっともう今はありえないと思います。
仕事ができない社員を怒ることも許されないと。
怒るのはダメですね。叱るのはいいですけど。
どこが違うんですか?
まず大きな声を出した時点でダメです。そもそも叱る場所も配慮しなくちゃいけない。
みんなの前で叱ったりしたら、もうこれだけでアウトだと。
若者には絶対に受け入れられないですね。そのまま居なくなるか訴えられるか、どっちかじゃないですか。
大変な時代ですね。堪忍袋の緒が切れちゃう社長はもう失格なんですね。
怒鳴ってしまうような社長は勉強不足です。社員との会話は全部録音されていると思った方がいい。
今回ニュースになっていたのは結構大きな会社で。大きい会社は社長が勘違いしがちなんでしょうか。
いや、大きくても小さくても、一定数のまったく空気が読めていない人がいます。
なぜ今の時代にそんな人が生き残っているんでしょう。
キャラクターですね。許される人と許されない人っているんですよ。周りに諦められている人もいます。ガラケー持って駅でバカでかい声で喋ってる社長とかいるじゃないですか。
いますね。電話で怒鳴ってる人とか。
そういうキャラクターの人が一定数生き残っています。
飲食店でもいますよね。お客さんの前でバイトを怒鳴りつけてる店長とか。私はそういうのが嫌なので二度と行かないですけど。
お客さんの前で怒鳴ったりするのは完全にアウトです。そういうマネジメントはもう許されない。自分の子供の頭を叩くこともダメな時代ですから。
言うことを聞かない子供はどうしたらいいんでしょうね。
話して聞かせるしかない。叩いた瞬間に「大丈夫かこの親は」って白い目で見られますから。
言って聞かせて何とかなる人はいいですけど。同じ失敗を繰り返す人とか、教えてもできない人とか、簡単なミスをしちゃう人とか、どうやって教育すればいいんでしょう。
いずれロボットになるんじゃないかと思います。
店員がロボットに置き換わるってことですか?
いえ。店長のほうですね。ロボット店長が「君は動きが悪いぞ」みたいに指摘する。人間ってロボットに言われても、そんなに気にならないじゃないですか。
なんと。店長がロボットになりますか。
そういう時代が来ると思います。人間が言うと問題になるので。一線を超えないようにロボットが指摘する。「〇〇さん、今日はちょっとパフォーマンスが悪かったですね」みたいに。
なるほど。優しく指摘して、改善されない人は評価を下げていくと。
給料も少しずつ下げていく。それが限界ですね。日本の制度ではクビにできないので。
中国にはパワハラがないそうです。ダメだと思ったらすぐクビにしちゃうから。
そうなんですよ。クビにできるから怒ってまでやらせようと思わない。日本はどうしてもクビにできないし、給料も簡単には下げられないから、見合うだけの成果を上げさせようという無理が生じるんです。
「この無駄飯食いめ!」みたいな言葉が出ちゃうんでしょうね。
給料泥棒という言葉は日本だけじゃないですか。給料泥棒だと思った瞬間にアメリカや中国はもうレイオフですもん。
つまりパワハラの原因は解雇規制ということですか。
その構造の中でパワハラが起きるのは間違いないです。だってサボっているのに解雇されないっておかしいじゃないですか。
アメリカのドラマだったら「明日から来るな」で終わりですもんね。
ドラマではなくそれが現実なんですよ。でも日本では何もできないですから。
能力が低い人はまだしも、サボる人とか、ぜんぜん努力しない人とか、どうしたらいいんでしょう。
別室で冷静に指摘するしかないです。
指摘するのはいいんですか?
「何回も同じことを言わなければ問題ないよ」というのが厚労省の定義です。
何回も言わないと変わらない人もいるじゃないですか。
何回もしつこく同じことを言うのはダメです。
強く言うのもダメだし、何回も言うのもダメだし。どうするんだよ?って感じですね。
ハラスメントをしても何にもいいことがないってことだけは確かですね。
採ってしまったらもうしょうがないと。
しょうがない。日本では人間が管理するということ自体がもう無理なんですよ。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。