第159回「ひんしゅくおじさんの正体」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第158回「大手という信用はもうない」

 第159回「ひんしゅくおじさんの正体」 


安田

金メダルをかじっちゃった河村市長さん。大ひんしゅくの。

石塚

表敬訪問に行った選手のメダルをかじるって(笑)あれはないでしょう。

安田

「このコロナの折に」という批判と、「人のものを勝手にかじった」という批判と。あれはどういう心理なんですか。

石塚

いや、心理も何も。人のものと自分のものの区別がつかないってことでしょ。

安田

「最大限の愛情表現だ」と本人は言ってるみたいで。

石塚

それはたぶん後付けですね。

安田

あまりにも非難が多いので、メディアに向けて「悪かったかな」みたいな会見をして。

石塚

勘違いおじさんの最たるものですよ。

安田

「俺がかじったら喜んでくれる」と思ったんでしょうか。

石塚

「メディアがそれを求めてる」と思ってるんでしょう。完全に世の中の価値観とズレてます。いちばん早く退場してほしいおじさんの典型。

安田

まわりの声を聞く耳を持ってないから、ああなるんですか?

石塚

河村市長に物申せる人がまわりにいないんだと思う。

安田

オリンピックの表彰台で、たまにメダルをかじる選手がいるじゃないですか。

石塚

自分のメダルだったら好きにすればいいと思いますよ。

安田

あれを見て真似したんでしょうね。

石塚

まずコロナ感染のこのご時世に、表彰式だって「自分でかけてください」状態なのに。

安田

ですよね。

石塚

みんな極力接触を避ける配慮をしてるわけです。それをまず自分にかけさせて、さらにはかじるって・・・もう言葉がないです。

安田

最低ですよね。普通だったら遠慮して触りもしないぐらいです。

石塚

このご時世だったらそれが当たり前でしょう。しかも金メダルですよ。人にとっての「大事なものとは何か」が分からない。

安田

自分が大事にしてるものは違うんでしょうね。「雑に扱うな!」「いくらすると思ってるんだ!」みたいな。

石塚

こういうおじさんは自分に甘くて人には厳しいので。

安田

そういう人がやたら政治家には多い気がします。私の思い過ごしでしょうか。

石塚

いや、おっしゃる通りです。政治家にも多いし、企業経営者にも多い。

安田

経営者にも多いですか。

石塚

勘違いおじさんは組織の上にいくほど多いです。

安田

まわりが本音を言わないから「裸の王様」になっていくんでしょうね。

石塚

おっしゃる通り。本音なんか言ったら左遷されますよ。

安田

だけど、さすがにこのご時世ですから。少なくともコロナ予防という自覚ぐらいはあるでしょう。

石塚

どうでしょうねえ。もう自我が肥大しちゃってるから。

安田

普段からマスクなしで生活してるとか。

石塚

そんな感じがしますよね。「ワクチン打ったから、マスクするのはもう面倒くさい」っていう高齢者みたい。

安田

そんな高齢者がいるんですか?さすがにマスクはするでしょう、このご時世。

石塚

このまえ新宿の百貨店で「お客様、マスクお願いします」っていう店員に「俺はもうワクチン終わってるんだ!」ってゴネてる高齢者がいました。

安田

なんと・・・

石塚

「処置なしだな」と思って見てましたけど。

安田

マスクをしたくないなら百貨店に行かなきゃいいのに。

石塚

おっしゃる通り。客だから何でも許されると思ってるんですよ。

安田

典型的な勘違いおじさんですね。でもいつまで続くんでしょうね。ワクチンを打ってもマスクし続けるってことは、生涯し続けるってことになりますけど。

石塚

もう公共のマナーとして定着するんじゃないですか。

安田

小さい子供に対しての悪影響も大きいそうです。熱中症もありますし、幼い子は表情が認識できなくなるとか。

石塚

小さい子どもが学校でマスクすることと、人が集まる公共の場でマスクをするのは、切り分けて考えなきゃいけない。

安田

なるほど。

石塚

学校の施設内で小学生や中学生にマスクを常にかけさせるのは、僕は反対です。

安田

だけど公共の場に関しては、しばらくは続くだろうと。

石塚

そう思います。もう生活スタイルのなかに「感染症リスク」というものを入れて考えないといけない時代。

安田

感染症リスクの話になっちゃいましたけど(笑)河村市長さんについてはどう思いますか。次の選挙で痛い目にあうんでしょうか?

石塚

落ちてほしいですよね。とても政治家っていう資質じゃないですもん。

安田

だけどそういう人が現に市長に選ばれているわけで。もしかしたら「デリカシーのなさ」って政治家の資質なんじゃないですか。

石塚

そうかもしれません。

安田

人の言うことを黙って聞く人とか、人の気持ちを察する人とか。そういう人はなれない職業なんじゃないですか。

石塚

まともな人ほど政治家に当選しづらいのは確かです。

安田

テレビ討論を見ても、一切人の言うことを聞かずに、より大きい声でがなり立てるとか。相手の話を吟味する前にいきなり否定しだすとか。

石塚

おっしゃる通り。

安田

「自分が言ってることは絶対に正しい」という前提に立ってますよね。

石塚

僕には「人としてのコミュニケーション」が完全に欠落してるように見えます。

安田

ああいう人じゃないと政治家になれないんでしょうね。

石塚

一貫性とかロジカルさより、どう目立つか、どういう印象として映るかだけ。討論番組なんて、所詮マウントの取り合いじゃないですか。

安田

見ていて非常に醜いです。

石塚

醜いですね。だから僕は一切見ないです。そもそも司会者がいちばん理解してない。

安田

司会者は視聴率を取ることしか考えてないですから。

石塚

とくに最近は高齢の政治家が増えて、何を言ってるのかよくわかりません(笑)

安田

ほんとそうですよね。

石塚

メダルかじりもその延長ですよ。

安田

メディア受けを狙ってやったんでしょうか。

石塚

もちろん狙ってやったと思います。政治家としていかに目立つか、いかにアピールするかばかり考えてるので。

安田

かじったらみんな喜んで写真パシャパシャ撮って、いろんなメディアに載って、ウケるだろうみたいな。

石塚

おっしゃる通り。

安田

批判されることなんて、これっぽっちも考えなかったんですかね。

石塚

考えてるのは「いかにウケるか」だけだと思う。

安田

お笑い芸人じゃあるまいし。そんなに頭悪いんですか?日本の政治家って。

石塚

言ってしまえばそれが政治家の資質なんでしょう。

安田

政治家って3・4手ぐらい先を読んでるイメージですけど。1手先すら読めてない。

石塚

おっしゃる通り。「ウケるつもりが真逆に行った」っていう。

安田

名古屋市民はあれ見て「恥ずかしい」とか「気持ち悪い」って思わないんですかね。

石塚

思ってるでしょう。だけど選挙の頃にはみんな忘れてしまうんですよ。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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