第168回「メガバンクの最終形態」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第167回「人を使うビジネスの限界

 第168回「メガバンクの最終形態」 


安田

みずほ銀行のシステム障害がすごい事になってます。

石塚

もう末期的ですね。

安田

巷では「旧派閥争いの影響だ」とか言われてまして。いくらなんでも、そんなバカなことはないと思うんですけど。

石塚

そのとおりですよ。

安田

えっ、本当にそうなんですか!?

石塚

そうです。いまだに「興銀」「富士」「第一勧銀」で、ごちゃごちゃやってる。

安田

それがシステムに影響してると。

石塚

そう。いまのシステムは「MINORI(みのり)」っていうんですけど。MINORIの仕組みをご説明すると、開発委託が4社。

安田

4社?

石塚

開発委託って普通は1社でしょ。

安田

でしょうね。全体像が分からなくなりますから。

石塚

IBM、富士通、日立、NTTデータに開発を委託してます。この時点で4社共存。

安田

全体を把握してる人がいないってことですか?

石塚

そのとおり。

安田

え〜!

石塚

それを運営委託してる会社も2つあって。みずほ銀行とみずほ信託。つまり4社の開発が2系統で運営されてる。

安田

もう無茶苦茶ですね。

石塚

むちゃくちゃです。

安田

他のメガバンクはどうなんですか?

石塚

もちろんどこかに一本化してます。

安田

普通に考えたらそうですよね。効率よくするために合併するわけですから。

石塚

いかにみずほの問題が根深いかってことです。

安田

最後は「国有化して管理するんじゃないか」という噂まであります。

石塚

それは、かなり可能性が高いですね。

安田

なんと。

石塚

安田さん、金融システムトラブルって何が一番まずいか分かりますか?

安田

貯金を下ろせないことでしょうか。

石塚

それも、もちろんまずいんだけど(笑)サイバーテロの標的になることが最大のリスクなんです。

安田

国じゅう大混乱になりますもんね。

石塚

そうです。

安田

だけどみずほのシステムは穴だらけだと。

石塚

もう「いらっしゃい」って感じですよ。

安田

恐ろしい(笑)

石塚

サイバーテロで預金データや運用データが全部持っていかれるとか。消えちゃったとか。あり得ますから。

安田

みずほに貯金するのやめときます。

石塚

ですよね(笑)だから金融庁は“おかんむり”なんですよ。

安田

データ改竄なんてされたら貯金がなかった事になっちゃいますね。

石塚

金融機関というのは信用が必須のビジネスなんです。

安田

そこを棄損しちゃった。

石塚

だから実質国有化とか、一時国有化ってことも選択肢に入ってますよ、金融庁は。

安田

へえ〜。

石塚

「おまえらの独自開発なんて信用できない」「三菱のメインフレームを使うぞ」という話がもうできるみたいで。

安田

金融をやってる人だったら、システムの重要性はわかってるはずですよね。

石塚

もちろん。

安田

今の時代のお金って単なるメモリーですもんね。

石塚

金融はそのメモリーをいかに守るかというセキュリティ事業です。

安田

みずほのトップにだって分かってるはずで。どうしてこんな状態になるまで放置したのか。

石塚

これが日本の大企業特有の弊害なんです。いわゆる老害でしかないです、これは。

安田

つまり見栄とか意地みたいなものですか。

石塚

結局そうですよ。全体最適を考えられないんです。手を付けようとすると、あらゆるところに忖度しなきゃいけないから。

安田

誰も自分から折れようとしない?

石塚

外圧でしか変わらないでしょうね。だから一時国有化して、みずほを思いっきりダウンサイジングする。これは僕の私見ですけど最後は三菱とくっつけると思う。

安田

えーっ、メガバンクがさらに減っちゃうんですか!?

石塚

はい。青と赤がくっついて、赤色になる。

安田

青は残らないと。

石塚

メガバンクは2つあれば十分。“三菱みずほ”と三井住友だけ。

安田

りそなは?

石塚

「りそなも一緒にくっつけろ」と。

安田

その場合トップはどうなるんですか?今回問題を起こした頭取とか。

石塚

ぜんぶ詰め腹を切らせて頭取は外部招聘でしょうね。「あなた方はもう切腹してください」っていう。

安田

関連会社に行くこともないですか。

石塚

ないです。終わり。一応退職金も出るしいいじゃないですか。

安田

若手や中堅にしてみたら、そっちのほうがやりやすいんですかね。

石塚

どうだろうなあ。派閥によるんじゃないですか。

安田

まさか一番下まで派閥があるんですか?

石塚

ありますよ、銀行だから。

安田

みずほになってから採用された人は関係ないですよね。

石塚

あるに決まってるじゃないですか。

安田

あるんですか!

石塚

もちろん。入った時点でどの役員系列なのかっていう。それで人生決まりですよ。

安田

銀行マンって大変ですね。ちなみにメガバンクが2つになったら中小企業への対応は変わりますか?

石塚

資金がちょっと危ないところは、もう、難しいんじゃないですか。

安田

メガバンクって小さい会社を相手にしなくなってませんか?

石塚

もう、ぜんぜん考えてないですよ。一方でSBIは新生銀行にTOBかけて、こっちは伸ばしてるじゃないですか。

安田

そうなんですか。

石塚

ネット銀行が新たな融資の枠組みをつくって、中小企業を取り込もうとしてる。「メガがやらないなら、うちがやるよ」っていう動きですね。見てて面白いですよ。

安田

へえ〜。ということは今後、中小企業はネット銀行に流れていくんですか。

石塚

そう思います。

安田

それでビジネスに差し支えないんですか。

石塚

もうネットで十分ですよ。どうせメガなんて何もやってくれませんから。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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