第211回「回転寿司こそが究極!?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第210回「太陽のリストラ政策」

 第211回「回転寿司こそが究極!?」 


安田

この10年で回転寿司が800店舗も増えているそうです。

石塚

増えてますよね。

安田

人口が減って、給料も下がって、税金だけ高くなっていくなかで。なぜ回転寿司だけが業績を上げられるのか。すごく不思議なんですけど。

石塚

回転寿司って、まずヘルシーでしょ。

安田

魚だからってことですか。

石塚

油とか使わないし。食べていて不健康な感じがしないじゃないですか。

安田

まあそうですね。

石塚

食べる量も調節できるし。

安田

はいはい。

石塚

そして、お寿司だけじゃなくて、いろんなものがありますよね。おそば、うどん。

安田

ありますね。

石塚

だから、あそこは「回転寿司」って考えないほうがいいと思うんです。多商品アイテムのファミレスなんですよ、あれは。

安田

もう寿司屋じゃないと。

石塚

寿司屋じゃないです。注文すると最新のICT技術で「あっという間」に来るわけですよ。

安田

そんなに早いんですか。

石塚

オーダーしたらスパッとすぐ目の前に持ってくる。

安田

へえ〜。

石塚

ファーストフードでもあり、ヘルシーフードでもあるんです。

安田

なるほど。

石塚

誰が行っても、誰と行っても、2人で行っても、家族で行っても、おじいちゃんとおばあちゃんが行っても、若い人が行っても、ぜんぶ食べるものがある。あの業態はすごい。

安田

ぜんぜん知りませんでした。そんなにすごい業態だったんですね。

石塚

最新式のニュータイプ・ファミレスみたいなイメージですね。

安田

つまり回転寿司だから儲かっているわけじゃなく、飲食業としてすごい工夫があるってことですね。

石塚

すごい工夫とテクノロジーですよ。

安田

へぇ~。

石塚

本当に回転寿司ってICTのすべてが詰まってますよ、あそこに。

安田

でも裏では、やっぱり人が握ってるわけでしょ。

石塚

もちろん。マニュアルに沿ってちゃんと。

安田

そこにすごく人件費もかかりそうですけど。そんなに儲かるんですか?

石塚

売上がすごいですから。

安田

それは回転が速いからですか。

石塚

おっしゃる通り。満席でも、まあ1時間も待ってれば入れるじゃないですか。

安田

みんな並んでますもんね。

石塚

今はその場で待たなくても、ICTで「次は何時何分です」ってスマホで分かるんですよ。これはくら寿司というチェーンがいちばんよくできています。

安田

店舗に行かなくてもいいんですか?

石塚

今日の何時から予約が可能かって、ぜんぶスマホで分かる。無料のアプリで。いきなり店舗なんて行かないんです。

安田

なんと。

石塚

スマホを見て「7時半だったら行けますけど、いいですよね」「じゃあ予約入れときます」って。

安田

人気店でも並ばなくていいってことですか。

石塚

前もって予約すれば。

安田

回転寿司を食べるために、わざわざそんなに早く予約しますか。

石塚

それがするんですよ。「お父さん、くら寿司行きたい!」「おまえ、これ見ればわかるだろ。夜の10時半まで待てるか?」「待てない。来週は絶対早く予約入れてね」「わかったわかった」みたいな。

安田

キャンセルしたらどうなるんですか。

石塚

キャンセルしたら次が繰り上がるだけです。キャンセル待ちもたくさんいるので。

安田

へえ〜。

石塚

ラーメンもうまかったりするんですよ。

安田

凄いですね。

石塚

凄いです。メニューは豊富だし、ボックス席もあればカウンターもあるし。1人で行こうが、2人で行こうが、3人で行こうが、5人で行こうか、ぜんぶ吸収できる。

安田

回転寿司は海外でもすごく人気があるらしいですけど。同じ理由ですか?

石塚

寿司はヘルシーフードだから。それにこういう仕組みもないし。

安田

回って出てくるって驚きでしょうね。

石塚

日本人ならではの発想ですよ。「生ものが嫌い」って人は、生ものじゃないものを食べればいいわけだし。

安田

じゃあ石塚さんの予想では回転寿司はまだまだ増える?

石塚

増えるでしょう。人口が減るので国内マーケットはどこかで止まるでしょうけど。

安田

ワタミさんはなぜ焼肉じゃなく、こっちに行かなかったんですか。

石塚

回転寿司って、設備投資にものすごくお金がかかるんです。

安田

そうなんですか?

石塚

1店舗つくるのにものすごくお金がかかる。焼肉なんか火つけて燃やすだけじゃないですか。

安田

まあ、そうですけれど(笑)

石塚

回転寿司にはハードとソフトと人材と3つ必要で。経営体力のある会社しか無理なんですよ。

安田

そうなんですね。

石塚

ワタミぐらいじゃつくれないってことです。広い土地にものすごい設備投資をかけて、システムも導入しなきゃいけない。あれこそ強者の業態です。

安田

小さな店もあるじゃないですか。

石塚

独立系の回転寿司なんて、ぜんぶどこかに買われました。今はぜんぶ大手です。

安田

たしかに。はま寿司か、くら寿司か、みたいな。

石塚

はま寿司は牛丼の「すき家」のゼンショーグループ。

安田

かっぱ寿司のCMも最近見なくなりましたね。

石塚

かっぱ寿司はカッパ・クリエイト。コロワイドが買収しました。

安田

なんと。

石塚

テレワークも回転寿司の流行に拍車をかけてます。

安田

テレワークが?

石塚

いま安田さんだって家にいるでしょ。

安田

ほとんど家にいます。

石塚

たまに回転寿司に食べに行きませんか?

安田

いや、行かないです。

石塚

行って見てください。ビックリしますよ。「平日にこんなにいるの!?」って。予約しないと入れませんから。

安田

えーっ、入れないんですか!?平日に。

石塚

「お客様、アプリ持ってますか?」って必ず聞かれます。

安田

もうそれが常識なんですね。

石塚

はい。スマホがすべてを変えました。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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