第55回「14年間、週末に行列ができ続ける山奥の小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「14年間、週末に行列ができ続ける山奥の小さなブルーオーシャン」


「家庭でも食べられる。けど、並んででも食べたいものとは?」

それは『TKG』
つまり『卵かけご飯』
近頃、多くのお店でも締めの一品として、
見られるようになった卵かけご飯。

店主がこだわり抜いたお米と卵。
いつも家で食べるそれとは違う。
だからお金を出してでも、
食べたくなるんでしょうね。

しかし、卵かけご飯にお金を出してまで
食べるようになったのはいつ頃からでしょうか?
私の子どもの頃、いやもっともっと以前から、
卵かけご飯は、家庭の食卓にあったものですから。

この「卵かけご飯」だけで、
14年間、行列の絶えないお店があります。

卵かけご飯専門店「但熊(たんくま)」

兵庫県豊岡市但東町という
人口わずか140人の小さな集落に、
年間約4万もの人が訪れ、
週末ともなれば、
2時間待ちは当たり前。
人気テーマパークのアトラクションよろしく、
5時間待ちも記録したほど。

しかし、卵かけご飯の専門店というだけで、
こんなにも成功するのだろうか?

但熊の店主 西垣源正氏は、
この土地に生まれ育った養鶏農家。

高級な魚粉など約25種類の原料を自ら配合した
エサを鶏に与えるなど、コストをかけたこだわりの卵。

しかし、卵の価値をわかってくれる人は
ごくわずかだったそうです。
養鶏場だけでは生活できないため、
減農薬米の栽培も始め、こだわりのお米を作ったものの、
指定米ではないため、買ってくれるところはない。

うまい卵とうまい米-。

思案して思いついたのは「卵かけご飯専門店」

「家で食べられる卵かけご飯なんて、わざわざ人が来るのか?」

これが周りの反応だったそうです。

しかし、私は思うのです。
ちゃんと商品化したからではないか?と。

世の中には、良いものを作っている人や会社は
たくさんあると思うのです。
でも、良いもの、良い製品、
だから売れる。だから買う。
とはなりません。

製品を商品にしないと売れないと思うのです。

さらにどんなに素晴らしいもの、
美味しいものでも、わざわざ並んでまで、
もっと言えば5時間も並んでまで
買いたいと思うでしょうか?

実は、西垣源正氏。
140人の小さな集落を逆手に取り、
自然の豊かさを取り入れたのです。
周囲をきれいに整え、休耕田を借りて、
田んぼを復活させ、昔ながらの田園風景を
見せ続けたと言います。
景色もスパイスにしてしまったとでも言いましょうか。

現在は、こだわりの卵を使ったスイーツも手掛け、
そこでは地元の人たちが働いているとか。
つまり雇用までも生み出しているのです。

今でこそ卵かけご飯ブーム、TKGブームですが、
そのブームが来る前から、知恵を絞り、
アイデアを形にした小さなブルーオシャンでした。

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卵かけご飯専門店「但熊(たんくま)」
兵庫県豊岡市但東町栗尾916
http://www.eonet.ne.jp/~tankuma/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

1件のコメントがあります

  1. いつも楽しく拝見させていただいています。

    秋葉原駅の総武線にあるミルクスタンドは、小さなブルーオーシャンですよね。

    (※うっかり、駅名を誤りました。後日訂正。御茶ノ水駅→秋葉原駅)

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