第75回「“売り上げない”ことを決めた小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「“売り上げない”ことを決めた小さなブルーオーシャン」


「みんなから愛される青梅の“小商い”」

今回はちょっと長いかもしれません。
店主の経営手法に、とても感銘を
受けてしまいまして…(笑)

奥多摩駅前や秋川渓谷の玄関口
あるいは武蔵五日市駅前などなど
青梅・奥多摩界隈に現れるという
リアカーをご存知ですか?

「幻のおいしいシフォンケーキ」
が買えるリアカーなのですが、
会えればラッキー、
買えたら奇跡と呼ばれるほど、
すぐに完売してしまうのです。

キャンプと登山のアウトドアメディア「HYAKKEI」からの画像

しかし、今回取り上げたいのは、この
「幻のおいしいシフォンケーキ」
のことではありません。

このリアカーを引くご本人、
「ちゃんちき堂」の久保田 哲氏に
焦点を当てたいのです。

リアカーを引く久保田氏。
毎日、決まったルートはなく、
風の向くまま、気の向くまま。
雨の日以外は、マイペースに
淡々とリヤカーを引いて
シフォンケーキを売り歩くといいます。
しかも呼び声は出さず、
身に着けている鈴が目印。
神出鬼没とはまさにこのこと。
おいしいからこそ
当然売れるのでしょうが…。

謎っぽくて、
買いに行きたい!
いや…
会いたい!
いや、いや…
ひと目でいいから見たい!
となりませんか?

さて、売り方もなのですが、
久保田氏の経営手法がとてもいいんです。

実は、久保田氏。
とあるIT企業で敏腕を奮って
おられたそう。
14年間の会社員生活のうち
12年間は、赤字部署の立て直しや
新規事業の立ち上げなど、
まさに孤軍奮闘。
もちろん年収も高かったご様子。
詳細は久保田氏が「ストーリー」を
久保田氏の「note」
赤裸々に公開してくれています。
ぜひ、読んでみてください。

頑張っていた久保田氏。
頑張り過ぎちゃいました。
うつ病になってしまったのです。
休職をし、治療に専念しますが、
奥さまと話し合った末に、
独立・起業を決意。

でも、そこは、これまでに培ってきた
経験やノウハウがありますから、
色々とお考えになられたようで…。

その決め方に感銘を受けました。

売り上げるのではなく、
売り上げない!

10万円、20万円ならなんとかなる。
50万稼ぐぞ!となるとハードルが上がってしまう。
だから、売り上げない。

商品をシフォンケーキに決め、
(シフォンケーキにした理由は割愛します)
だからこそ、リアカーで行商スタイル。

とは言え、美味しいシフォンケーキ。
通販で売り出せば、即完売だそうです。

ちなみに、一応、店舗もあるようなのですが…
月・木・金は定休日。
場所もわかりにくいようで、
HP曰く、

「ひみつのいりぐち」を探しあてるとネ。
そして、そこに置かれている「ひみつの指示書」を
ゲットしたらたどり着ける可能性、ぐ~んとUPですよ。

だそうです。
お店の名前「ひみつ工場」だそうで…。

売り上げよう!
とすれば、ギラギラになります。
売り上げない!は
点々がなくなって、
キラキラに変わる。
だからお客さんが寄ってくるんでしょうね。

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名称:ちゃんちき堂
URL:http://www.chanchikido.jp
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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