このコラムについて
小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?
と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。
「毎年多くの若者が就職志願をしてくるという小さなブルーオーシャン」
「世界中に愛好者がいる日本で唯一の馬具メーカー」
以前、私は仕事で5年ほど、
北海道に住んでいたことが
あります。
当時、生まれて始めて、
「乗馬」というものを
体験しました。
むちゃくちゃ難しかった…。
その時に知ったことなのですが、
「乗馬」と「競馬」、両方とも
発祥はヨーロッパですが、
歴史や世界観など、
似て非なるものらしく、
使用される「馬具」も
違うらしいのです。
そして、この両方の馬具を
作っているメーカーというのは
ほぼ存在しない中で、
唯一、両方の馬具づくりを
している会社が北海道にある、
と教えてもらいました。
北海道の歌志内市にある
ソメスサドル株式会社
1964年創業の日本で唯一の
馬具メーカー、
そして革製品の総合メーカー
でもあります。
同社の馬具は、
JRAの騎手の7割から8割が
使っているといいます。
政府や宮内庁からも指名され、
2008年に開催された
北海道洞爺湖サミットでは
各国首脳にソメスサドルのバッグ
が贈られました。
もはや小さなブルーオーシャンとは
言い難いのですが、
今回、私が注目したのは「人材」
romavorによるPixabayからの画像
この馬具業界。
修理を前提とした馬具店が多く、
業界の平均年齢が70歳を超える
そうです。
ところがソメスサドルの生産部は
なんと平均年齢は30歳代。
特に新卒採用枠を
設けているわけではないのにも関わらず、
毎年多くの志願者が同社の門を
叩くんだそうです。
一体、何が魅力なのでしょうか?
まずは品質。
革製品を扱っている
同社では、当然のように
牛革を製品にしていくわけです。
経営のことを考えれば、
すべての革を余すことなく、
使うことを考えるでしょう。
ところが、同社が考える基準で
品質を追求していくと、
3分の1~4分の1は使えない
というか使わないのだそうです。
例えそれが、小さなキーホルダーでも…。
また、革製品として糸で縫っていく
わけですが、すべて手作業で、
しかも2回結びをしているんだそうです。
これは、乗馬でも競馬でも使用される「鞍」。
糸のほつれは、落馬などの思わぬ事故に
つながります。
バッグなどは糸をチョキンと
切って終わるところも多いそう。
しかし、同社の『馬具づくりの精神』を
他の革製品にも受け継いでいるため、
すべての製品がこのように、
丹念に作り上げられていきます。
また、同社ではいわゆる『流れ作業』を
行なわないそうです。
ひとり一人が、担当している製品の
すべての工程に関わり、
最後まで作り上げるために
自ら手をかけることによって、
技術力を磨いているのだそうです。
すべての工程を全員が知り、
また別の製品を生産することによって、
新たなアイデアが生まれ、
さらに丈夫な製品づくりへと
作り方もどんどん進化させていくとのこと。
世の中は効率化が進んでいます。
若い人は面倒なことしたくない、
と言っている。
技術はどんどん衰退していく。
ん〜、本当でしょうか?
ソメスサドルのことを
調べていると、
言われていることが全部
真逆なんです。
ただ、
経営陣も働いている人も、
技術者、利用者、お客さま…。
ソメスサドルに関わっている人の、
「馬具や革製品」に対しての愛情や
大切にしようとしている精神が、
浮かび上がってきている気がします。
若い人が来なくて悩んでいる会社は、
実は、効率化して、職人と呼べるような
頑固な人が少なくなって、
技術が衰退し、魅力がなくなって
しまった…ということなのかも、
と思いました。
頑固な職人さんや厳しい経営者、
ちょっと変わった人がいる会社は
実はとても魅力的なんじゃないか、
と思います。
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ソメスサドル株式会社
北海道砂川市
https://www.somes.co.jp/
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