第158回「小さな家族も大切に。幼虫やカメも含む『ペット忌引き』を導入する企業が増加中という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「小さな家族も大切に。幼虫やカメも含む『ペット忌引き』を導入する企業が増加中という小さなブルーオーシャン」


先日、友人からこんな話をされました。

入社して半年の社員が、
介護休暇を使いたいと言ってきた。
よくよく話を聞くと、
飼っている犬の体調が悪く、
手術、入院が必要なので、
休みたい、と。

友人は、犬?ペット?
とは思ったものの、
ペットだって家族。
とは言え、介護休暇は使えない。
かと言って、入社半年なので、
会社の規定で有給休暇は使えない。

結局、在宅勤務等を
うまく使うことで、
この問題を解決したそうです。

法律上、ペットはモノ扱い。
とは言え、長い時間を
一緒に過ごしているペットは、
家族も同然です。

もし、あなたの飼っているペットが
寝たきりになり介護が必要に
なったら…。
お別れの日が来てしまったら…
どうするのでしょうか?
あるいは、
社員の方がペットの介護が
必要だと訴えてきたら…。
ペットが亡くなったので、
休むと言ってきたら…
どう対処するでしょうか?

「ペットとの最期を見届けたい。仕事も、心も、すべて大切にする。」

神戸市にある
工場設備商社
吉岡興業株式会社は
2023年3月から、
ペットの死に際して
最大5日間の休暇を取得できる
「ペット忌引き制度」
を導入したそうです。

対象のペットを細かく限定せず、
昆虫の幼虫やカメ、鳥なども
対象としているとのこと。

吉岡洋明社長は、

ペットとの死別は、
生き物の種類にかかわらず
飼い主にとってはつらいもの。
最期まで見届けてから
仕事に戻る方が従業員にとって
精神的にも良いと考えた。

と言います。

導入のきっかけは、
ペットの死で落ち込む従業員の姿を
社長自身が実際に
目にしたことだったと言います。

社長ご自身も
イヌとセキセイインコを
飼っているらしく、
ペットとの死別のつらさは
容易に想像できたそう。

ペットの葬儀事業などを手掛ける
サンセルモ(東京都港区)が
調査したところ、
ペットの死で強い喪失感を感じる
いわゆる「ペットロス」を
経験したのが43.2%だそう。

Tony MinguillonによるPixabayからの画像

ペットに関する休暇制度を巡っては、
ペット関連の保険を扱う
「アイペット損害保険」(東京都江東区)が
2016年から「ペット休暇制度」を導入。

山形県天童市の温泉旅館「滝の湯ホテル」も
2020年から、ペットの死や危篤に際して
社員が取得できる「ペット休暇」を導入。

ペットを飼っている人からすれば、
こうした取り組みのしている会社に
入社したいと思うだろうし、
長く働きたいと思うのは必然なんでしょうね。

たかがペットなどと言わず、
いまや、寄り添うのは、
従業員、従業員の家族、
そしてペットの時代です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
吉岡興業株式会社
兵庫県神戸市兵庫区
URL https://www.yoshioka-kogyo.co.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

著者の他の記事を読む

 

佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

感想・著者への質問はこちらから