第124回 「タダでもいらないもの」に付加価値を付ける方法とは?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第124回 「タダでもいらないもの」に付加価値を付ける方法とは?

安田
鈴木さんは『相続不動産テラス』で空き家の活用ビジネスをされていますが、『みんなの0円物件』というサイトはご存知ですか?

鈴木
聞いたことあります。「タダでもいいから誰かにもらって欲しい」っていう物件が載っているんですよね。
安田
そうそう。でも実際にはタダでもらいたい人ってなかなかいないらしく…。

鈴木
そりゃそうでしょうね(笑)。家だけじゃなくて、畑とか山林なんかもついてくるでしょうから。そうすると維持も大変だし、処分するのも大変です。まあ、そうやって処分したくなった人がサイトに載せるんでしょうけど(笑)。
安田
そうなんでしょうね(笑)。ちなみにこのサイトで取引が成立するのは事業者間がほとんどみたいで、一般の方にはなかなかハードルが高いみたいです。とは言え、この「タダでもいらない」というものに着目したサービスって面白いなと思って。

鈴木
同感です。まさに以前の対談でお話した「いらないと思っているものを欲しいに変える」というやり方ですね。
安田
そうそう。特に家なんて「たった1人でもいいから強烈に欲しいと思ってくれる人」さえ見つかれば、それで解決するわけじゃないですか。

鈴木
…まあ実際は住むことに向いていない家だから売れないんですけどね(笑)。
安田
確かにそうか(笑)。でもね、それはきっと「物件単体」で売ろうとするからダメなんですよ。何かしらの価値を一緒に売り込めば、きっと何とかなるんじゃないかな。

鈴木
ふーむ。例えば「◯◯にピッタリの家」みたいな切り口で売り出すとかですか?
安田
そういうことです。「不便な立地だけど、とにかく景色が良い。そこを逆手にとってカフェにするのはどうでしょう?」みたいに提案してあげたり。だって今って、あえて不便なことがウケる時代でもあるじゃないですか。

鈴木
あ〜確かに。キャンプブームもそうですよね。わざわざ不便なことをしに行くのが人間ですから(笑)。
安田
あるいは他にも、「今は75歳くらいまで働かないといけない時代だけど、年金だけじゃ足りませんよね? でもこの古い家を買って、こういう商売をすれば生活費くらいは稼げますよ」とか。

鈴木
なるほどなぁ(笑)。つまり「コンセプトをくっつけて売る」ということですね。確かに「家だけどうぞ」って言われるより、ずっとイメージが湧くかもしれない。
安田
そうそう。今まではそれを消費者側に委ねていたわけですよ。事業アイディアが出せて、資金計算もできる人はいいですけど、一般の人はそんなことまで考えませんからね。

鈴木
確かにセミナーでお話ししながら思うのが、皆さん家を「処分」することばかりに意識が向いていて「活用」するという視点がないんですよね。民泊とか古民家カフェとか、活用方法って実はいろいろあるんだけど、なかなかそういう発想にならない。
安田
ちなみに鈴木さんがお住まいの美濃加茂市あたりの空き家には、どんな潜在的ウォンツがありそうですか?

鈴木
僕らのエリアって意外と「一戸建ての賃貸物件」が少ないんですよ。サイトを検索しても全くと言っていいほど出てこない。だから壊すんじゃなくてリフォームして貸し出してくれる物件があれば、かなり需要があるんじゃないかと思います。
安田
そうなんですね! そう考えると、戸建ての賃貸はアリですね。

鈴木
そうそう。しかも住んでみて気に入ってくれたら、そのまま土地ごと買い取ってもらうこともできる。正直な話、そういう物件だったら僕のところでリフォームして貸し出してもいいなとも思っています。
安田
いいですね〜。水回りとお庭を綺麗にするだけでも、きっと住みたいと思ってくれる人は出てくると思うので。そういう物件が出たらぜひ私にも教えてください。鈴木さんと一緒に「空き家のブランド作り」を試してみたいと思います!

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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