この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第15回 日本にバブル景気が復活する時。
第15回 日本にバブル景気が復活する時。

今日は日本のバブル期についてお話をしたいなと。私、当時のイケイケドンドンな時代の再来を夢見ている政治家が、今もまだ多いと思っているんです。鈴木さんは長く経営者として活躍されてきたわけですが、バブルの再来はあると思いますか?

そもそも僕は、社会人としてバブルを経験したわけではないんです。当時は高校生くらいで、「給料が一気にあがった」とか「ボーナスの金額がすごかった」とか、そういうリアルな景気のよさを体感したことはなくて。

そうですねえ。当時私は営業をしていたんですが、企業さんから新卒採用したいと電話があると「文系なら1人200万円、理系なら1人300万円かかります」なんて言ってました。相手も「わかりました。それくらいかかりますよね」って軽く返ってくるような時代で(笑)。

今の時代には人の感情を上向かせてくれるような、インパクトのある「良い変化」なんてないですからね。ともあれ、なんとか景気は良くしていきたい。個人的に今の日本の景気を上向かせる可能性があるとしたら、「観光大国」としてのポジションなのではないかと思っているんです。

そうなんですよ。だから日本はこれまでの「ものづくり」路線から「サービス業」へと転換することで、ひょっとしたらバブルに繋がるんじゃないのかな、と。日本には地方にも魅力的な場所や美味しい食事、独特の文化がたくさんありますから。

そういうことです。だって、日本に住んでる日本人は1泊50万円とか100万円とかする部屋に泊まりたいとは思わないでしょう? でも富豪の方たちは、せっかく日本まで来たんだからとびきりいいホテルに泊まりたいと思う。

そうでしょう?(笑)。でも実は1つ課題があって。というのも、今後日本は観光で儲かるようになると気付いているのって、圧倒的に海外企業が多いらしいんです。だから国内にいくつもある高級ホテルのほとんどが外資系のホテルなんですよ。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。