この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
安田
今日はお墓をテーマにお話していこうかと思います。鈴木さん、福岡に「前方後円墳」のような形をした共同墓地があるのをご存知ですか? 今、すごい人気なんだそうですよ。
鈴木
いや、知らないですね。どれくらいの規模なんですか?
安田
3000人分くらいを納骨できるらしいです。
鈴木
へぇ、そんなに! 個人で大きなお墓を建てるのは難しいですけど、数百・数千人規模が集まるのであれば、古墳のような巨大なお墓でも良いですね。
安田
ええ、私もそう思いました。でも鈴木さんはお仕事柄、お墓は個々人で建てるべきだと思われているんじゃないですか?(笑)
鈴木
いやいや、そんなことはないですよ(笑)。お参りできる対象があるならば、それは必ずしも今のような「お墓」でなくてもいいと思います。
安田
そうなんですね。日本では昔から、土地を買って、墓石を買って、「◯◯家」のお墓を建てることが正しい、と言われてきていますけど……。
鈴木
とは言え、個人で維持し続けるのは難しくなっていますよね。それならば逆転の発想で、「みんな」で維持していける集合体のお墓は、ある意味理想的なんじゃないでしょうか。
安田
なるほどなぁ。そもそもお墓の始まりって、「すごいことを成し遂げた人のエネルギーを、死後もずっと感じられる場所」だったそうですよ。
鈴木
確かにピラミッドや古墳も、偉人や有名な人が祀られていますもんね。
安田
ええ。だから昔の一般人に、立派なお墓を建てるという概念はなかった。それなのに今は、一般人でも当たり前のように土地や墓石を買うようになっていて。お墓ビジネスに乗せられているだけなんじゃないのかって穿った見方をしちゃいます(笑)。
鈴木
お墓ビジネスですか(笑)。そもそも僕はお墓って、「家」と同じなんじゃないかと思っているんですよね。
安田
家ですか?
鈴木
はい。昔の一般人は名字もなくて、どこどこに住んでいる誰々さん、というような呼び方だったじゃないですか。でも明治時代に入って平民も名字を名乗るようになったことで、安田とか鈴木というような「家」を名乗れるようになったんですよね。
安田
あぁ、なるほど。名字を持ったことで「家意識」も生まれたわけですね。
鈴木
そうそう。「家」を代々守ることが、「◯◯家の墓」を守ることにもつながってきたんじゃないかなと。僕はそう考えています。
安田
なるほど。ただ先祖代々のお墓と言われても、自分が実感をもってお参りできるのって、せいぜい祖父母か曾祖父母の代くらいまでですよね。
鈴木
そうですね。そのお墓に入っているであろう何十代も前の祖先たちについては知る由もない(笑)。
安田
「何十代も前の先祖がいたから今の自分がある」というのは理屈としてはわかります。でもそもそも人間は全員アフリカ人から始まっているんですよ。先祖代々っていうならそこまで遡らなくていいのかなって、私はどうも不思議で。
鈴木
それは面白い発想ですね(笑)。
安田
というのも、実は私の両親の遺言が、「墓を建てるな」だったので、私には「先祖代々のお墓」がないんですよ。
鈴木
そうなんですか!
安田
それで生前の父に、お墓がないのにどうやって拝めばいいんだと聞いたら、「どこで拝んでくれてもいい。そこに俺が行くから大丈夫」って(笑)。すごく画期的な人でしたね。
鈴木
ホントですね(笑)。
安田
今の日本ではもう80%くらいの人が共同墓地を選ぶそうですし、今後もその数は増えていくんでしょうね。
鈴木
ええ、そう思いますよ。個別の墓を守り続けるには、それなりの時間とお金が必要ですからね。
安田
私、ちょっと考えたんですけど、もうこの際、各都道府県に1つお墓を作って、みんなそこでお参りすればいいんじゃないですかね?(笑)
鈴木
なるほど、面白い。それが一番合理的かもしれませんね(笑)。
対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役
株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。
