この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第38回 安売りの波に乗らないのはサービスに自信があるから
第38回 安売りの波に乗らないのはサービスに自信があるから

『のうひ葬祭』さんは、岐阜の美濃加茂市にありますよね。鈴木さんは、この場所で葬儀の仕事をやり続けるなかで、どんなことを大切にされているのでしょうか。

ということは、鈴木さんが60歳で社長を引退した後も、美濃加茂市にのうひ葬祭はずっと存在し続けなければならない、と。

やはりそうですか。きっとのうひ葬祭さんと地元の方々との間に、長く続く信頼関係があるんでしょう。

つまり、のうひ葬祭さんとしては、たとえニーズがあったとしてもそれはやっちゃいけない、という判断なんですね。

ええ、そういう人たちに来てもらっても困りますね。「後悔のないよう、故人と最期のお別れをする時間をゆっくり取りたい」という方向けの葬儀をしています。そこだけに客層のターゲットを絞っていると言ってもいいかもしれません。

ターゲットが明確なんですね。実際100人いて100人全員に受け入れてもらう必要はないわけで。遺族にしっかりと寄り添ってくれて、手厚いサービスをしてもらいたい。そう考える人だけをお客さんにしていけばいいと。

素晴らしいですね。ということはつまり、のうひ葬祭さんは「故人を手厚く送り出すお手伝いを、最高レベルのスタッフが担います。だからそのサービスの対価として、これくらいはいただきますよ」という方に舵を切られているわけですね。

まさにそうです。それからこの業界はハードの見栄えも重要になるので、今年11月には式場をリニューアルしました。最近値上げをしましたが、それに見合うソフトとハードはご提供できていると思っています。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。