泉一也の『日本人の取扱説明書』第27回「おっさんの国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第27回「おっさんの国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

日本は男性社会といわれている。企業の管理職における女性の割合、議員における女性の割合は、世界で最下位レベルにある。さらに平均年齢が高い(衆議院で約55歳)。つまり管理職も議員もおっさん中心である。ちなみに「おっちゃん」と言わず「おっさん」というのは、「さんづけ」してより敬意を表しておきたいからである。現段階で日本の意思決定は、このおっさんたちの価値観が反映され、そして物事が進んでいく。まさにおっさん社会である。私もほぼ年齢的にはおっさん部類なので、おっさんの生態がよくわかる。3つの特性をあげてみよう。

「安定を好む(変化を毛嫌う)」「過去が好き(今風を毛嫌う)」「常連が好き(新参者を毛嫌う)」この3つである。なぜかとうと、もう変化も今風も新参者も関わるのがしんどいからである。毛嫌うというは、邪魔臭いということ。おっさんの根本は「邪魔臭がり」である。おっさんが定年退職した後、家に引きこもることが多いが、まさに変化も今風も新参者も嫌なので、じっと家にいるのだ。行く末は孤独死だが、ある意味それはそれで、生き方を貫いている。引きこもっていてくれたらいいのだが、変化の時代に中核に居座られると迷惑千万である。

粋なおっさんは、自分の邪魔くさがり特性をよく知っているので、居場所をすぱっと手放し次の世代に渡す。そしてただのおっちゃんになる。野暮なおっさんは、孤独になるのが怖いので、自分の居場所を確保しようとしがみつく。こうしたおっさんたちが、繁殖しない社会の仕組みが必要だが、そうした仕組みを作ろうとすると、おっさん達の抵抗にあい、頓挫する。たとえば、ある人数以上の企業は管理職に女性が4割以上いないと税率が飛躍的に上がる、公務員や議員はもともと男性枠と女性枠が決まっていて、別々に採用・投票するなど、仕組みとしては全然難しくないのだが、導入される予感すらない。ちなみに、現時点ではおっさんが決めた罰則のない努力目標しかない。

感想・著者への質問はこちらから