第60回 いいことづくめな「社員の業務委託化」

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第60回 いいことづくめな「社員の業務委託化」

安田
タニタさんが社員から業務委託に切り替えて成功してますよね。もっとも、元々仕事ができる人が業務委託になって、あまり自信がない人はならないのかもしれませんけど。

渡邉
そうかもしれませんね。まぁ会社側から見れば、仕事ができる人が残ってくれるわけで、辞められてしまうより全然いいですよね。
安田

そうそう。しかもね、そういう人って他の部署からも頼みたい仕事がいっぱいあったらしいんです。だけど発注の流れは決まっているし、社員で給料も固定だから申し訳なくて頼みづらかったと。


渡邉

ははぁ、それが業務委託、つまり個人事業主になったことで、部署関係なく依頼を受けられるようになったと。めちゃくちゃいいことですね。

安田
そうなんです。発注する側も気兼ねなく頼めるようになって嬉しいし、受ける側もやればやるだけ収入が増えるので、まさにウィンウィンです。実際、それだけで1.5倍くらいの収入になったらしいですよ。

渡邉
へぇ、すごい。いいことづくめですね。
安田
そうなんですよ。そもそもね、優秀な人って、仕事が早いんですよ。だけど社員だと倍の仕事をやっても倍の給料になるわけじゃないので、その仕事の早さを活かせない。

渡邉
でも業務委託だったら、半分の時間で終わらせて帰っちゃってもいいわけですもんね。なんなら残りの時間で他の仕事を受けたっていいわけで。
安田
そうそう。それが「成果」で仕事を受ける業務委託のいいところですよね。逆に言えば、「時間」で給与をもらっている社員だと、「たくさんの仕事を受ける」とか「早く仕事をこなす」というところにインセンティブが働かないんです。

渡邉
そりゃそうだ(笑)。まぁ、そうやって頑張ることで出世できるかも、というモチベーションは持てるかもしれないけど、全員がそう考えられるわけでもないですし。
安田

そうなんです。だからタニタさんの取り組みはすごくいいなぁと思っていて。住宅業界でも取り入れればいいのにって思うんですけど、どうです?


渡邉
そうですねぇ。住宅業界で取り入れるとしたら、営業さんとかですかね。「あの人のプランだと決定率上がるから頼もう」みたいな。
安田
いいですね。営業さん側もそれで収入が増えるんだから、社員時代は「仕事が増えるから嫌だ…」ってなってた人でも、きっと喜んで受けるようになりますよ。それにクオリティも上がるでしょうね。クオリティが低いと仕事を切られちゃうので。
渡邉

ああ、確かにそうですよね。考えれば考えるほどいいところばかりだ。ちなみにタニタさんの業務委託では他社の仕事も受けられるようになってるんでしたっけ?

安田

受けるのはOKなんですけど、「できれば社内の仕事だけで給料を増やしてほしい」というのが社長の想いで。もともと社内発注というか、自立した社員を生み出すための仕組みなので。実際社内の仕事だけでけっこう稼げちゃってるみたいですね。


渡邉
なるほど。人事や総務など、一見業務委託に向かなそうな職種でも可能なんですかね?
安田

それがおもしろいところで、タニタさんの業務委託第1号が、なんと当時の人事部長なんですよ。「業務委託の仕組みを作るのに、まずは自分が第1号にならないと他の社員に勧められない」と。


渡邉
へぇ、おもしろいですね!
安田

で、リリースしてみたら、初年度から希望者が何人も集まって。逆にその制度がなかったら辞めようと思っていた人もいたらしいです。


渡邉
すごいなぁ。ちなみに報酬設定や福利厚生はどうなっているんです?
安田

この業務委託契約自体が3年契約になっているんですけど、最初の3年間は前の給料を保証する形で、社会保険料も上乗せした金額で契約するんです。今までよりも活躍していれば次の年は増えるし、活躍してなければ減らさないと契約しないとか。


渡邉
ははぁ、なるほど。ちなみに一度業務委託になってからまた社員に戻るケースもあるんですか?
安田

それも可能なんですけど、もう一度入社試験を受け直さないといけないみたいですね。

渡邉
つまり以前の待遇では戻れないと。なるほど、うまくできているなぁ。ちなみに同じことを自分の会社でも取り入れようとした時に、経営者が一番怖いのはどういう部分なんでしょうね。
安田

やっぱり人材が抜けていくことじゃないですかね。優秀な人材が業務委託になることで他に行ってしまうんじゃないかって。

渡邉

ああ、なるほど。でも実際は、そうやって囲い込もうとすればするほど辞めていってしまうんですよねぇ。辞めるはずだった人の何割かでも業務委託で残ってくれるなら、やらない選択肢はない気がします。

安田

そうなんですよ。そんなことをしたら社員がいなくなるだろうと言う人もいますけど、そういう制度を取り入れている会社ほど定着率がいい。

渡邉
とはいえ、「そんな制度ができるのは、儲かっている会社だけだ」みたいな視点もありそうですけど。
安田

いや、業務委託だったら業績が悪ければ仕事を発注しなければいいだけなので、逆に経費は抑えられると思います。赤字社員を抱えて、非生産的な仕事をやらせるようなこともなくなるわけで。

渡邉
なるほどなぁ。業務委託に切り替えることで、社員の黒字率も一気に上がると。いやはや、すごい取り組みです。

対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

Facebook

1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから